経済インサイド
日産総会、トヨタ車で現れたルノー会長…「同床異夢連合」の行方は
日産は、外部有識者らでつくる特別委員会が数カ月間、議論した結論を踏まえて移行を決定。この総会で新たに就任する社外取締役も、新しい会社の形態を前提にしている。コーポレートガバナンス(企業統治)改革が頓挫すれば、西川広人社長らの責任が問われるのは必至だった。
ルノーが“最強のカード”をちらつかせて迫ったのは、委員会人事の修正だ。ルノーからは4月の臨時総会でジャンドミニク・スナール会長が、6月の定時総会でティエリー・ボロレ最高経営責任者(CEO)が、日産の取締役に就任。しかし日産は、スナール氏を指名委員会委員とする人事案を示した一方、ボロレ氏のポストは用意していなかったからだ。
両社の協定で、ルノーは日産の総会で会社側が出した取締役選任案に賛成する義務を負う。しかし、定款変更議案に関してはルノーに選択権がある。実際に棄権すれば両社の関係悪化は深刻な状態になるため、「脅しにすぎない」(関係者)という見方もあったが、日産にはなすすべもなく結局、ボロレ氏が監査委員会委員に就くことで両社は折り合った。
スナール氏らはルノーの首脳だが、日産の取締役としては当然、日産の利益を優先して行動する義務がある。それを無視して公然とルノーの利益を追求する姿勢は、定時株主総会の質疑でも株主から追及された。
「4月の臨時総会では、『献身的に日産の将来をよくするように取り組む』と言っていたが、あなたは直前になってから棄権すると言い出し、委員会人事を勝ち取った。アライアンス(企業連合)のパートナーとして、背信行為ではないか」