エンゲージメントの構築こそ正攻法
ポジショニングでの差別化合戦をしなくとも多くのメーカーが共存できるのは、「スポーツ」という広いコンセプト、マーケットをおさえている強みではないでしょうか。アディダスもプーマもナイキも、我々が子供の頃からあったのです。
多くのアパレルブランドにとって、何十年もの年月を無事生き延びることは難しいことです。しかしながら、「スポーツ」はなんだかんだとすたれない。「ジョギング」や「ウオーキング」が根強く人気があるように、今後も生活者がスポーツをやめる日はこないでしょう。むしろ、スポーツブランドにとっては、子供や学生のクラブ活動時代からブランドへのエンゲージメント(深い関係性の構築)を築くことこそが長期戦略であり正攻法と言えるに違いありません。
アディダスナイトジョガーもまさに昔からのファンに訴求する復刻商品です。オリジナルは1979年に発売されています(アディダス初のリフレクター搭載シューズ「ナイトジョガーOG」)。そう考えると、「スポーツ」を出発点に「ファッション」へのフィールドを、長い時間軸の中で着々と拡げるスポーツブランドの強さ、しぶとさをアディダスナイトジョガーが体現しているようにも見えてくるのではないでしょうか。
【ブランドウォッチング】は秋月涼佑さんが話題の商品の市場背景や開発意図について専門家の視点で解説する連載コラムです。更新は原則隔週火曜日。アーカイブはこちら