クルマ三昧

ボルボXC90のシートベルトに刻まれた“意味深な数字”が語るもの

木下隆之
木下隆之

 まずは「180km/hの速度制限」を導入するという。最高速度を抑えるというのだ。

 世界には速度無制限の道路がまだ残る。有名なところでは、ドイツのアウトバーンがそれだ。条件さえ許せば、いくら高速で走行してもだれにも咎められない。250km/hオーバーでスポーツカーが迫ってくることもある。ミニバンや小排気量コンパクトモデルさえも、アクセル全開で追いすがることも珍しくはない。欧州にはまだそんなアウトバーンが残るのに、180km/hリミッターを採用するところにボルボの良心が見え隠れする。金で時間を買うユーザーにとって、ボルボは購入対象にならないかもしれない。それを覚悟で自主規制を採用するところは「ボルボ=安全」であろうとする心意気が透けて見える。

 その象徴がシートベルトのバックルの文字に現れている。

 「SINCE 1959」

 この四桁の数字は、ボルボの誇りなのだ。

木下隆之(きのした・たかゆき)
木下隆之(きのした・たかゆき) レーシングドライバー/自動車評論家
ブランドアドバイザー/ドライビングディレクター
東京都出身。明治学院大学卒業。出版社編集部勤務を経て独立。国内外のトップカテゴリーで優勝多数。スーパー耐久最多勝記録保持。ニュルブルクリンク24時間(ドイツ)日本人最高位、最多出場記録更新中。雑誌/Webで連載コラム多数。CM等のドライビングディレクター、イベントを企画するなどクリエイティブ業務多数。クルマ好きの青春を綴った「ジェイズな奴ら」(ネコ・バプリッシング)、経済書「豊田章男の人間力」(学研パブリッシング)等を上梓。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】こちらからどうぞ。

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