まずは「180km/hの速度制限」を導入するという。最高速度を抑えるというのだ。
世界には速度無制限の道路がまだ残る。有名なところでは、ドイツのアウトバーンがそれだ。条件さえ許せば、いくら高速で走行してもだれにも咎められない。250km/hオーバーでスポーツカーが迫ってくることもある。ミニバンや小排気量コンパクトモデルさえも、アクセル全開で追いすがることも珍しくはない。欧州にはまだそんなアウトバーンが残るのに、180km/hリミッターを採用するところにボルボの良心が見え隠れする。金で時間を買うユーザーにとって、ボルボは購入対象にならないかもしれない。それを覚悟で自主規制を採用するところは「ボルボ=安全」であろうとする心意気が透けて見える。
その象徴がシートベルトのバックルの文字に現れている。
「SINCE 1959」
この四桁の数字は、ボルボの誇りなのだ。
【クルマ三昧】はレーシングドライバーで自動車評論家の木下隆之さんが、最新のクルマ情報からモータースポーツまでクルマと社会を幅広く考察し、紹介する連載コラムです。更新は原則隔週金曜日。アーカイブはこちら。木下さんがSankeiBizで好評連載中のコラム【試乗スケッチ】はこちらからどうぞ。