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仕組み複雑なローン担保証券、専門家不足の地銀損失懸念

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 国内の超低金利で運用難に陥ったメガバンクや農林中央金庫、ゆうちょ銀行は、高い利回りを期待してローン担保証券(CLO)を購入し、地方銀行も追随して国内勢による投資が拡大した。ただ、CLOは仕組みが複雑でリスク判断が難しい面もあり、運用の専門家が少ない地銀は損失を抱える可能性が高まるとの懸念も出ている。

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 CLOの残高は、昨年末時点で農林中金が6兆8000億円、三菱UFJフィナンシャル・グループが2兆5000億円、ゆうちょ銀が1兆円で、国内金融機関の保有量の大半を占める。投資対象のCLOの格付けは最上位の「トリプルA」がほとんどで「損失発生のリスクは限定的」(金融関係者)と説明する。

 一方、地銀の保有拡大を危ぶむ声もある。CLOは信用度が低い海外企業への融資を証券化したもので専門性が高く、メガバンクなどに比べれば「海外の個別のローンについて、中身を分かる人材が地銀には乏しい」(マネックス証券の大槻奈那チーフ・アナリスト)とみられているからだ。

 全国地方銀行協会の柴戸隆成会長(福岡銀行頭取)は3月13日の記者会見で、CLOの損失リスクについて「世界経済が踊り場に差し掛かっている中で、非常に注視している」と警戒感を示した。

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