昨年、BMWが日本市場としては初めてとなるオープントップモデルの「M4カブリオレ」を導入した。ベース車両はバリバリのハイパフォーマンスカー「M4クーペ」。450馬力を発揮する直6ツインターボエンジンの野太い咆哮を堪能しながら、高速道や箱根の山で試走してきた。このクルマはユーザーにどのような価値をもたらすのか、そしてルーフを開けた真冬ドライブの快適度は果たして…。(文・写真 大竹信生/SankeiBiz編集部)
「ウィーン、カチッ、ウィーン…」
つや消しのレッド・メタリック色に噴かれたM4カブリオレに向けてスマートキーのボタンを長押しすると、キャビンを覆うハードトップが3枚の板状に分割され、見事に重なり合うとトランクルームにすっぽりと格納された。わずか20秒の間に、流麗なクーペスタイルから華麗なオープンカーへと姿を変えたのだ。
せっかく屋根を開けたのだが、4座の鮮やかなホワイトレザーシートを一見すると、はやる気持ちを抑えて再びルーフを閉じた。オープン走行は後のお楽しみとして、まずはクローズさせた「M4クーペ」のスタイルで走ることにした。
意外な走り味
高性能スポーツカーのエンジンに火を入れる瞬間はいつも、クルマのパフォーマンスに対する大きな期待と「自分の手に負えるのだろうか…」といった若干の緊張が入り混じる。スタートボタンをオンにすると「ブオオンッ!」と刺激的なサウンドが両耳を突き抜け、車体に伝わる微振動が体をビビっと震わせた。小排気量車や電動化されたクルマでは決して味わえない、五感を大いに刺激する特別な瞬間だ。