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自治体職員、ベンチャーと協業 「GovTech」で地域課題解決、神戸市の挑戦とは

 地方自治体の職員とスタートアップと呼ばれるベンチャー企業が手を組み、地域課題解決に一緒に取り組む動きが広がりを見せている。「GovTech(ガブテック)」と呼ばれるこの取り組みでは、ベンチャーはIT分野などの最新技術やユニークなアイデアに基づいたビジネスモデルの実証実験の場として活用できる。一方、行政も職員の意識改革につなげられるなどの成果を期待している。

 神戸市は、ベンチャーとの協業により地域課題を解決するサービス開発などに取り組む「アーバンイノベーションコウベ」を全国に先駆けて2017年に始めた。市が解決すべき課題を提示して参加するベンチャー企業を公募。17年度は2つ、18年度上半期は6つの課題で実施された。

 18年度募集課題の一つ、「行政窓口をスムーズに案内できるツール」に、ITベンチャーのACALL(アコール、神戸市中央区)が参加。役所の受付担当職員が来庁者に、円滑に案内できるツールを開発した。

 担当職員は、非正規雇用のケースがほとんどで、数年に一度は必ず引き継ぎが発生するが、庁舎内にどの部署があるのかということだけでなく、来庁者が必要とする手続きにあった案内が必要になるため「紙のマニュアルにしづらいうえ、職員の交代でサービスレベルが安定しないなどの課題がある」(神戸市の多名部重則新産業創造担当課長)という。

 そこでACALLは、ソフトウエア上の自動化技術であるRPA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)を活用し、来客対応サービスを開発。神戸市東灘区役所との実証実験を経て、窓口案内を円滑にするタブレット端末向けアプリを完成させた。ACALLの長沼斉寿社長は成功の理由について「市当局が民間出身の人材を幅広く活用して、行政の論理とスタートアップの論理とをうまくすり合わせ、最適な解決策を導いてくれた」と語った。

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