中小企業

出願初期費用ゼロ、特許身近に パテンション、「埋もれた発明」発掘ねらう

 神谷社長は「日の目を見ない発明が、少しでも多く世の中に出るきっかけにしたい」と初期費用をゼロにすることで、出願をしやすくした。報酬体系も分かりやすく定額制にしている。

 会社を設立したのは、顧客の知的財産を特許事務所が売買対象とすることは、規制によって難しいためだ。

 弁理士の注目高まる

 実は、夫の神谷径氏は弁理士として開業している。神谷社長は大阪のかつお節問屋に生まれた。大学卒業後、法律事務所で事務職に就いた後に結婚。以降14年間、3人の子育てをしながら専業主婦として家庭を守ってきた。その間、夫の仕事を傍らで見ていて「特許出願は、取得できなくても費用がかかり、敷居が高い。もっと気軽に出願できれば、埋もれている発明が世に出てくるのではないか」と、特許出願手続きの実態に疑問を感じるようになる。

 家業を継ぐことがないまま、父親が2012年に他界したこともきっかけとなって、弁理士や特許をめぐる問題点を解決しようと起業を志し、今年4月にパテンションを設立した。

 9月から本格的に業務を始めたばかりだが、権利を売買するという過去に例がないビジネスモデルのため、まだ取り扱い実績はない。このため、今は中小ベンチャー事業者が集まるビジネス交流会などで根気強く、認知度向上に努めている。

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