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東芝、屋台骨支える成長事業急務 真価試される車谷氏、メモリ売却後の成長の姿描けるか
東芝の連結売上高は事業の売却を繰り返したことで4兆円を下回り、ピークの08年3月期(7兆2088億円)から4割強も縮んだ。再成長には売上高の回復も欠かせないが、かつて半導体と双璧をなす主力だった原発事業は、福島第1原発の事故後、国内の新増設が止まり、海外での需要増も見込みにくい。水処理やエレベーターなどインフラは安定需要こそ見込めるが、半導体メモリー事業の抜けた穴を補うほどの成長は難しい。
東芝が15日に示した改革方針でも、屋台骨を支える次の成長事業については具体的な言及がなく、固定費の圧縮など、コスト削減施策に重点が置かれた。
「収益性を強化し、成長事業を育成する。18年度を変革元年にする」と会見で再成長に向けた決意をこう語った車谷氏。年内に数値目標も含めて発表する改革計画で、説得力のある成長戦略を示せるか。金融再編などに手腕を発揮し、旧三井銀行でプリンスと呼ばれた車谷氏の真価が試される。(今井裕治)
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■東芝の主要事業別収益(2018年3月期、連結ベース)(売上高/営業損益)
エネルギー関連(火力発電、原子力発電など)
8447(▲13.4)/▲148(-)
インフラ関連(水処理システムなど)
1兆2468(▲1.2)/480(▲17.8)
企業向け関連(レジ、事務機器など)
5228(3.0)/270(65.6)
半導体関連(HDD、電子デバイスなど)
8796(5.1)/473(▲17.9)
システム関連(クラウド、AIなど)
2589(8.1)/13(▲81.7)
※単位:億円、カッコ内は前期比増減率%。▲はマイナスまたは赤字。-は比較できず