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【ハザードマップ】日本遠隔制御/PROEARTH

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【ハザードマップ】日本遠隔制御/PROEARTH

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 ■急激な業績拡大で信用不安広がる

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 ▼日本遠隔制御 日本遠隔制御は2017年12月26日に大阪地裁から破産開始決定を受けた。

 同社は電子制御機器の製造販売業を手掛け、産業用大型無人ヘリコプター向け無線操縦システムやRCヘリコプター用ジャイロセンサーなどの市場占有率は高く、自社ブランド「JR PROPO」は世界中のラジコン愛好者から支持され、高い知名度があった。

 2009年には東大阪宇宙開発の人工衛星「まいど1号」の姿勢制御部門を担ったほか、近年はドローン分野にも進出。15年11月には約30億円を投じる工場新設を発表。関連会社の合併などもあり、16年3月期は売上高約41億200万円を計上した。

 しかし、業容拡大の一方で、16年半ば以降は取引先への支払い遅延がたびたび発生。さらに、不透明な決算操作の疑いが浮上するなどして対外信用が急速に低下し、新工場建設計画も頓挫。借入金返済の延滞や税金滞納が発生し、保有不動産の差押えや競売が相次ぐなどして資金繰りの逼迫(ひっぱく)が露呈し、一部債権者から破産を申し立てられていた。

 ▼PROEARTH PROEARTHは2017年12月26日に東京地裁へ民事再生法の適用を申請、監督命令を受けた。

 同社は建設重機・車両販売、レンタルなどを展開。関連会社として、解体工事を手掛けるEarth(神奈川県厚木市)、砕石類販売を手掛ける東北鉱産(仙台市青葉区)などを設立してグループを形成した。

 2010年7月期の売上高は5億9400万円だったが、東日本大震災や熊本地震などの復興需要を取り込むため、地方拠点を拡充。さらに東京オリンピック関連需要を背景に受注を伸ばし、17年7月期の売上高は177億1783万円となった。しかし急速な事業拡大で、多忙な資金繰りが続いていた。

 こうしたなか、主要取引先の日商(仙台市青葉区)が昨年10月に破産申請したことで多額の焦付が発生し、資金繰りはさらに逼迫。本社不動産を売却するなどしたが、資金繰りは限界に達し、今回の措置となった。

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【会社概要】日本遠隔制御

 ▽本社=大阪府東大阪市

 ▽設立=1976年11月

 ▽資本金=3600万円

 ▽負債額=約32億円

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【会社概要】PROEARTH

 ▽本社=神奈川県厚木市

 ▽設立=2007年9月

 ▽資本金=9000万円

 ▽負債額=約151億円

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 〈チェックポイント〉

 日本遠隔制御は取引先への支払い遅延に始まり金融機関や自治体からの差し押さえが相次ぐなか、粉飾でごまかす、ずさんな経営も露呈した。ラジコンホビー業界での知名度と技術力で設備投資のための借入を重ねてきたが、売り上げと開発費とのバランスを見誤った結果、経営が立ち行かなくなってしまった。

 PROEARTHの急拡大を不安視する声は以前からあった。復興工事需要を背景に急激に業績を伸ばしたものの、借入に頼った財務基盤は脆弱(ぜいじゃく)のまま。

 不鮮明な取引形態も信用不安に拍車をかけ、拡大路線は一気に暗転した。「極端な業績拡大には注意せよ」与信管理の定石を体現する倒産劇だった。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)

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