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福島原発の3号機、推定より早く炉心溶融 燃料取り出し困難に

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福島原発の3号機、推定より早く炉心溶融 燃料取り出し困難に

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 東京電力福島第1原発事故で、東電は6日、炉心溶融(メルトダウン)が起きた3号機では、これまでの推定よりも約5時間早い時点で燃料が溶け出し、ほぼ全量が圧力容器を突き抜け格納容器底部へ落下したとする新たな解析結果を公表した。これまでは溶け落ちた燃料(デブリ)は一部とされていたが、今回の結果を受けデブリの取り出しは全量落下の想定で行うことになり、廃炉工程に影響を与える可能性が出てきた。

 東電は、事故でまだ解明されていない事項について52項目を抽出、解明を進めている。今回はそのうち、3号機の炉心溶融分析など優先順位が高い4項目について結果をとりまとめた。

 3号機の燃料が溶け出したのは、緊急時に原子炉を冷却する「高圧注水系(HPCI)」が停止したため、炉心の冷却機能が失われたことが原因。政府の事故調査報告書によると、HPCIは平成23年3月12日午後0時35分に起動したが、原子炉内の圧力が操作手順書の基準以下となったため、13日午前2時42分に運転員が手動で停止した。ポンプによる注水に切り替えようとしたが、電源を確保できず失敗。13日午前11時10分ごろから燃料が溶け始めたと推定されていた。

 しかし、東電が原子炉の圧力などデータを分析したところ、HPCIは手動停止する前の12日午後8時には冷却機能を失っていたとの結果が出た。解析の結果、燃料が溶け始めたのはこれまでの推定より約5時間早い13日午前5時半ごろと判明した。14日午前7時10分ごろには燃料が圧力容器を突き破り、格納容器底部へ落下したとみられる。

 東電は「解析は厳しめに行っているため、実際に炉内の全量が溶け落ちたとは考えにくい。デブリの取り出しへの影響はこれから検討する」と説明している。

 また今回の解析では、これまで不明とされていた2号機での炉心溶融についても新たな事実が判明。炉心溶融の一因とされる原子炉内の圧力上昇は、消防車を使った注水により原子炉内で水と燃料が反応、水素と大量の熱が発生したことが原因とみられるという。

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