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ソフトバンク、米携帯4位を買収へ 契約数で上位2社に迫る
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ソフトバンクが米携帯電話会社4位の「TモバイルUS」を買収する方向で最終調整に入ったことが25日、わかった。米携帯電話事業子会社のスプリントを通じて、2014年春にもTモバイルUSの株式の過半数を取得し、傘下に収めたい考えとみられる。買収額は2兆円前後となる見通しだ。
ソフトバンクは今年7月、米携帯電話3位のスプリントを約1兆8千億円で買収した。しかし、契約数は5500万件で、1億1千万前後のベライゾン・ワイヤレスとAT&Tの上位2社の半分と劣勢が続いている。
買収が実現すれば合計の契約数は約1億件と、上位2社に迫る規模となり、ソフトバンクグループ全体では1億4千万件に拡大する。大型買収による規模のメリットを生かし、世界市場で設備投資の効率化や調達力を高め、収益力を強化する狙いとみられる。
TモバイルUSの売上高は2兆6千億円。単純合算すると、ソフトバンクグループの売り上げ規模は7兆円規模になる。
ただ、傘下に収めた米スプリントの経営状態は厳しい。13年1~9月期は19億8千万ドル(2060億円)の営業赤字で、9月末の契約数は昨年12月より100万人強も減少している。一方、今年5月に米4位と5位の携帯電話事業者が合併して誕生したTモバイルUSも、7~9月期は3600万ドルの最終赤字を計上している。
“豪腕”といわれるソフトバンクの孫正義社長でも、収益力の低い下位グループ連合を名実ともにトップグループに引き上げるのは容易ではない。まごまごしていると契約者の草刈り場になりかねない。通信設備の効率化や端末調達の交渉力アップなど規模のメリットを生かす戦略も、時間との勝負となりそうだ。