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始まった「ボーナス争奪戦」 増税前の駆け込み需要、9連休追い風に

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始まった「ボーナス争奪戦」 増税前の駆け込み需要、9連休追い風に

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クリスマスを前に買い物客でにぎわう東京・銀座。外国人の姿もめだつ=東京都中央区(藤沢志穂子撮影)  国家公務員の冬のボーナスが10日支給され、年末商戦が本格化してきた。今年は安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による企業の業績改善を受け、ボーナスの平均支給額が増加。来年4月の消費税増税も控え、耐久消費財などの駆け込み需要も出ている。小売りやメーカーなどは高単価商品の品ぞろえを拡充するほか、金融業界もキャンペーンを強化するなど、需要取り込みに力を入れる。

 「ロレックスなど高級腕時計の売り上げが昨年より6割も増えた」。高島屋の担当者は、12月の好調な滑り出しに相好を崩す。三越伊勢丹ホールディングス傘下の伊勢丹新宿本店でも、宝飾品と高級腕時計は3割増。「高所得者以外にも、一般の若いサラリーマンが自分へのごほうびに買うなど、消費の裾野が広がっている」(広報)。

 アベノミクスによる景況感の改善を背景に、個人消費は堅調だ。平成25年7~9月期の国内総生産(GDP)改定値で、個人消費は速報値の0・1%増から0・2%増に上方修正。11月の景気ウオッチャー調査でも、街角の景気実感を示す現状判断指数は53・5と、10カ月連続で横ばいを示す50を上回った。

 こうした素地の上に、ボーナス増が重なる。経団連が11月13日に発表した冬のボーナスの第1回集計で、大手企業76社の平均妥結額は82万2121円と、2年ぶりの80万円台。国家公務員も管理職を除く一般行政職の平均額が、前年より約6500円多い約57万1800円。「消費増税前の駆け込み需要も高まる」(エコノミスト)中、高価格帯を中心とした商品の販売を押し上げている。

 そごう・西武は、お歳暮用ギフト商品の売り上げが前年同期比3%増で推移。特に多くの民間企業でボーナスが支給された直後の週末だった7、8日は、西武池袋本店で5%増。「フルーツやワインなどを中心に客単価がアップし、そのまま売り上げに跳ね返っている」(担当者)という。

 家電量販店では、小型・軽量で、本格的な撮影が楽しめるミラーレス一眼デジタルカメラを手にする来店客が目立つ。ソニーが11月に発売した「α7」シリーズは、一眼レフ上級機並みの画像センサーが売りで、想定の2倍の予約が入る。薄型テレビも、「10月に65型の4Kテレビを発売してから、4K以外も売れている」(パナソニック)と復調の兆しがみえる。

 増税前の駆け込み需要を反映してか、長く使える白物家電の販売も伸びている。ビックカメラ直営34店舗の7、8日の売上高は、冷蔵庫や洗濯機、エアコンが前年同期比50%増。広報担当者は「省エネ機能に優れた機種など、“ワンランク上”を買い求める顧客が多い」と話す。

 11年ぶりという9連休を追い風に、年末年始の旅行予約も好調だ。JTBでは、12月28日~1月5日までに出発のパッケージツアーの予約人数が海外は前年同期比5%増、国内(首都圏発着)は10%増。特に国内旅行では高価格帯のツアーが20%増と大幅に伸びた。航空便の予約も好調で「欧米など、長距離路線の人気が高い」(大手航空会社)。

 一方、金融機関も顧客獲得の好機と位置づける。三井住友銀行は、インターネット取引ができる口座の新規開設者が、発行されたクレジットカードで一定期間内に買い物した場合、ギフトカードを贈呈するキャンペーンを開始。りそな銀行は来年1月末まで、ボーナスなどで投資信託を新規に100万円以上購入した利用者に、100万円あたり1万円を払い戻す。

 住宅ローンをはじめ、金融業界は競争激化のまっただ中。りそな銀の広報担当者は、「ボーナスが入るこの時期に新規顧客になってもらえれば」としている。

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