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リニア建設めぐり非課税案浮上 JR東海「民間ダメだというのはおかしい」
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実験線を試験走行する新型リニア=山梨県都留市 JR東海が2014年度の着工を目指すリニア中央新幹線で、建設に必要な土地などの取得にかかる税金を非課税とする案が浮上している。
29日にはJR東海の葛西敬之会長が首相官邸を訪問し、不動産取得税など2税を免除するよう菅義偉官房長官に直談判。
また、同日の自民党の特別委員会に呼ばれたJR東海の山田佳臣社長も同じ要望を行った。与党が12月にまとめる14年度税制改正大綱に盛り込まれるか注目される。
国土交通省は14年度税制改正で、リニア中央新幹線の建設に必要な土地と家屋の権利の取得に伴う不動産取得税と登録免許税を非課税とするよう要望した。
リニア中央新幹線は27年に東京(品川)-名古屋間が開業し、45年に名古屋-大阪間が開業する計画で、目標時期に確実に開業できるよう後押しするのが狙いだ。
2税は、独立行政法人が建設主体となった従来の整備新幹線建設では非課税とされてきた。リニア中央新幹線は民間企業であるJR東海が建設主体だが、「官なら(非課税は)いい、民間ならダメだというのはおかしい」(山田社長)と牽制(けんせい)。自民党内には従来の整備新幹線と同程度の税優遇なら容認すべきだとの意見もある。
同社の想定では、2税の支払額は東京-名古屋間が約180億円、名古屋-大阪間が約140億円で、合計約320億円。税制改正で非課税が実現すればこの分が負担軽減につながる。
ただ、東京、名古屋、大阪の3大都市圏を鉄道輸送としては異次元の速さで直結するリニア中央新幹線は、航空会社などの競争相手には将来、大きな脅威となる。非課税措置で一企業に恩恵が及ぶことに批判が出る可能性もある。