鴻海とシャープ、ほころび目立つ提携関係 有機EL開発見送り
更新台湾の電子機器受託製造(EMS)大手の鴻海精密工業が、経営再建中のシャープと共同運営する堺ディスプレイプロダクト(シャープ堺工場、堺市)で計画していた有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルの研究開発を見送ることが、20日分かった。
既存の液晶パネルの増販を優先したいシャープが難色を示しているため。同日には、両社が携帯電話事業でも提携を解消していたことが判明。鴻海からシャープへの出資交渉が頓挫する中、提携関係のほころびが目立ってきた。
鴻海は従来方針を転換し、同社が100%出資する技術開発拠点「フォックスコン日本技研」(大阪市淀川区)を使って、来年にも傘下の液晶パネル大手、イノラックスの2工場(台湾)で有機ELの試作研究に入る。
有機ELは液晶に比べ黒色の発色や視野角に優れ、次世代のパネルとして注目されているが、生産コストが高いのが課題。現状では、韓国・サムスン電子がスマートフォン(高機能携帯電話)向けに量産するにとどまる。