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手のひら静脈認証で新技術 照合速度1000分の1に短縮、2015年に実用化

ニュースカテゴリ:企業の情報通信

手のひら静脈認証で新技術 照合速度1000分の1に短縮、2015年に実用化

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富士通研究所が開発した認証技術のデモ。画像からコードを抽出して静脈を照合する  富士通研究所は5日、手のひらの静脈画像から2048桁の「0」と「1」の並びで表される特徴コードを抽出し、単純な比較計算で照合する技術を世界で初めて開発したと発表した。静脈の特徴を比べていた従来の手法だと数ミリ秒だった照合速度を、1000分の1に当たる約1マイクロ(マイクロは100万分の1)秒に短縮できるとともに、データ量も従来の約10分の1に抑えられるという。同社は2015年の実用化を目指す。

 新技術は、各部分の情報量に応じて分割した手のひらの静脈画像について、各領域の特徴を抜き出した上で、情報量を削減する技術を用いて最終的に静脈パターンに関する2048桁の特徴コードを抽出する方法。

 画像領域を分割することで、多少の位置ずれや変形があっても影響を受けにくく、抽出された特徴コードから元の画像を類推することも困難という。同社によると、特徴コードはデジタル情報のため、さまざまな秘匿技術や暗号技術との連携も容易で、連携時のデータ変換による認証性能の劣化もない。

 新技術の活用で、1つの手のひらの静脈画像から複数のコードを生成できるため、生体認証サービスごとに異なる特徴コードを登録することが可能だ。

 万が一、登録した情報が盗難・漏洩(ろうえい)した場合も、新しい特徴コードを生成して再登録することが可能で、署名やパスワードを変えるように利用するサービスごとに別々の特徴コードを登録することができる。

 生体認証の拡大に伴い、インターネットアクセスや店舗決済などさまざまなサービスや場所での利用が想定されている。同社は「セキュリティー機能が高く、利用者が安心して使える生体認証技術を新技術で実用化したい」としている。

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