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吉野家、マック…相次ぎ高単価品投入 低価格と“両輪”、脱デフレ背景に強気戦略

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吉野家、マック…相次ぎ高単価品投入 低価格と“両輪”、脱デフレ背景に強気戦略

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 牛丼やハンバーガーなど低価格を売りにしていた外食チェーンが、従来に比べ単価の高い商品を相次いで投入している。安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」による景気回復への期待感などを背景に、高級品を求める消費者の需要を当て込んだ。一方で低価格商品への根強い需要にも応えながら客単価を引き上げる構えだ。

 吉野家が1日発表した「牛カルビ丼」と夏季限定発売の「ねぎ塩ロース豚丼」は「並盛」480円と牛丼より200円高い。牛カルビ丼は米国産牛の大判スライス肉を6枚使用。ねぎ塩ロース豚丼は1頭から約6キロしかとれない希少部位の肉を使うなど、品質とボリュームにこだわった。4日に全国の店舗で発売する。

 同社は4月に牛丼の並盛を100円値下げすることで4~5月の既存店の売上高アップにつなげたが、「価格だけでなくバリューを求める消費者もいる。千差万別の消費者ニーズに対応しなければならない」(門脇純孝専務)と判断。今後は牛丼よりも高いメニューを拡充し、単価アップを狙う。

 日本マクドナルドは、6月に「クォーターパウンダー」シリーズの新商品「BLT」(520~570円)「ハバネロトマト」(480~520円)を発売。単品では同社で最も高い価格帯の商品で、今月はさらに価格の高い新商品を投入するなど高価格商品の品ぞろえを強化する。原田泳幸会長兼社長は「今あるものの値段を下げるだけでは価値認識が下がる。客単価を上げるポートフォリオ(品ぞろえ)が大事」とし、多様な価格設定のメニュー投入で客数と客単価を伸ばす計画だ。

 また、「全皿105円」を売りにしてきた回転ずしチェーン大手「あきんどスシロー」(大阪府吹田市)も4月から、国内産のネタにこだわった189円のメニューを本格的にスタート。8月に全店舗(約350店舗)に広げる。持ち帰りすし大手の小僧寿しも、4月に通常店より2割以上高いネタをそろえた立ち食いすし店「築地 鉢巻太助」をオープンするなど、高単価路線へかじを切る。

 日本フードサービス協会が発表した5月の外食産業市場動向調査によると、全店売上高は前年同月比3.3%増で2カ月ぶりに増加するなど回復の兆しを見せる。一方で、原材料高などで外食各社は利益率の改善が課題となっており、脱デフレなどを背景に、高単価商品を投入する動きはしばらく続きそうだ。

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