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電機の救世主「4K」世界にアピール 普及へ技術開発促進

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電機の救世主「4K」世界にアピール 普及へ技術開発促進

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 次世代ハイビジョン放送の実現は、韓国や中国メーカーとの競争激化で世界でのシェアを落としてきた日本の電機メーカーにとって、国際競争力の回復につながる救世主となる可能性を秘める。

 世界に先駆けて放送が始まることで日本の放送・映像制作技術の優位性をアピールし、世界中の放送局で「4K」や「8K」対応の放送・映像制作機器の採用が進むことが見込める。さらに、汎用(はんよう)化で価格の下落に苦しむ薄型テレビの国内販売の収益回復にも追い風になるとの期待が膨らむ。

 「感情を揺さぶり、感動を増幅させる高精細・大画面の映像を、家庭で楽しんでいただける世界を実現したい」。業務用カメラからテレビまで手がけるソニーの平井一夫社長が4Kにかける熱意は、並々ではない。

 ブラジル東部の都市ベロオリゾンテのミネイラン競技場。同社は15日(日本時間16日)に開幕したサッカーのコンフェデレーションズカップに合わせ、10人近い技術者を送り込んだ。4K対応の業務用カメラ6台やモニターを持ち込み、3試合の試験撮影を実施。4K対応では、これまで以上に厳密さが求められる焦点の合わせ方やカメラワークの方法をテストする。

 キヤノンは2012年10月、4K業務用カメラ(約230万円)を発売。主に映画撮影用だが、1台当たり1000万円以上する従来のフィルムカメラよりも安く、販売は順調という。

 一方、8Kカメラの対応で進んでいるのは放送機器の中堅メーカー、池上通信機(東京都大田区)だ。8K放送を目指すNHKに6台の8Kカメラを既に納めた。

 家電量販店では、4Kテレビの品ぞろえが充実してきた。シャープの60型の希望小売価格が260万円を超えるなど、これまでの4Kテレビは一般には手の届かない高額商品だったが、各社は今夏のボーナス商戦に普及モデルを投入。ソニーの50型と、東芝が6月下旬に発売する58型はいずれも1インチ1万円を切る水準。シャープが8月に発売する60型も実勢価格は約65万円を見込んでいる。

 ソニーによると、4Kテレビは「マンションを購入した夫婦や、大画面で作品を確認したい写真家に好評」で、これまで発売した3サイズはいずれも計画を上回る売れ行きという。次世代ハイビジョン放送が始まれば普及に弾みがつきそうだ。

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