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輸入車、iPad…「円安」波及で続々値上げ 次は冷蔵庫など白物家電か
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米アップルは31日、日本国内で販売する人気タブレット端末「iPad(アイパッド)」「iPad mini(アイパッドミニ)」と携帯音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」について、価格を約10~20%引き上げた。急激に進行した円安ドル高を反映し、国内店舗や通販サイトなどの価格を変更した。
一方、輸入車メーカーも一部車両価格の値上げに踏み切っており、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の副作用ともいえる円安に伴う価格上昇が、食品や日用品だけでなく、電機製品や自動車などの耐久消費財にも波及してきた形だ。
アップルは「為替の変動に伴い価格の調整を行った」とコメントした。同社は米国での販売価格と為替を基準に、各国での販売価格を設定しているとされ、円安ドル高に伴う輸入価格の上昇により値上げに踏み切った。
タブレットや携帯音楽プレーヤーの市場をリードしているアップルの値上げが、ライバル各社の価格戦略に影響を与える可能性もある。
アイパッドの値上げでは、携帯電話の通信回線を利用できる高微細画面の「Retina(レティナ)」モデル(容量128ギガバイト)が従来の7万7800円から9万3800円と最大で1万6000円の値上がり。
画面サイズの小さなアイパッドミニでは最大で1万1000円、アイポッドでも最大6000円の値上げとなった。競争の激しいスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」は価格を据え置いている。
円安の影響により、製造業でも輸入コスト増が価格に転嫁され始めている。製品や部品を輸入するパソコンでも国内外のメーカーが値上げを実施。
海外生産比率の高い冷蔵庫などの白物家電も値上げの懸念がある。電子情報技術産業協会(JEITA)の佐々木則夫会長(東芝社長)は「対応はそれぞれで違うが、円高(のメリット)を享受したビジネスモデルはさらなる値上げがある」と指摘するなど、電機メーカーは急激な円高是正に対応するため、難しいかじ取りを迫られている。
一方、プジョー・シトロエン・ジャポン(東京都渋谷区)は7月から一部の車両価格を値上げすると発表した。
同社の値上げはプジョー・ジャポン時代の2006年以来7年ぶり。原材料費や生産コストの上昇が理由としているが、為替の円安傾向も価格戦略に影響を及ぼしているとみられる。
対象となるのは、小型車「プジョー208」や「シトロエンDS3」など8車種20グレードで、上げ幅は平均0.8%で1万~5万円。
輸入車メーカーでシェア首位のフォルクスワーゲン(VW)グループジャパン(愛知県豊橋市)も、5月から一部の車両価格を最大で13万円値上げした。
製品名 値上がり後の価格(従来の価格)
アイパッドミニ(16ギガバイト) 3万2800円(2万8800円)
アイパッドレティナディスプレイ(128ギガバイト) 9万3800円(7万7800円)
アイポッドタッチ(32ギガバイト) 2万9800円(2万4800円)
VWザ・ビートル(デザイン) 255万円( 250万円)
プジョー208(プレミアム) 218万円( 216万円)
シトロエンDS3(シック) 250万円( 249万円)