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ソニー復活のカギはスマホ 自信の平井社長「最強の商品を投入する」
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ソニーの経営方針説明会で発言する、平井一夫・ソニー社長兼CEO=22日午後、東京港区港南のソニー株式会社本社ビル(野村成次撮影) ソニーは22日、スマートフォン(高機能携電話)とタブレット端末で構成する携帯端末事業の2014年度の売上高を1兆5000億円、営業利益率を4%とする経営目標を発表した。
売上高は1年前の目標から5000億円上方修正した。市場が拡大するスマホを中心に攻勢をかけ、赤字が続くエレクトロニクス(電機)事業の立て直しを目指す。ただ、デジタルカメラなどの映像機器とゲーム事業は14年度の業績目標を下方修正。14年度の電機事業全体の営業利益率5%とする従来目標は維持したが、収益改善に向け道のりは険しい。
「成長を牽引(けんいん)するのは、携帯機器、映像機器、ゲームの3つの中核事業だ」。会見した平井一夫社長は、本業である電機事業の復活に向けこう強調した。本業である電機事業の12年度の営業損益はテレビ事業の不振などで1344億円の赤字。ソニーにとって「電機事業の再生が最優先課題」(平井社長)だ。
とりわけ出遅れたスマホでの反転攻勢が復活のカギを握る。昨年2月に携帯電話子会社を完全子会社化して商品開発力を強化。平井社長は会見で「総合力を生かした最強の商品を投入する」とし、同事業の黒字化に自信をみせた。
だが、デジタル家電市場の競争環境が厳しくなるなか、収益の改善は厳しい。スマホは米アップルと韓国サムスン電子の2強に世界シェアで大きく引き離され、中国や台湾メーカーの台頭も著しい。
さらに競争環境の厳しさを背景に、映像機器事業は14年度の売上高目標を1兆3000億円と1年前の目標から2000億円引き下げた。ゲーム事業も14年度の営業利益率2%と、1年前の目標を6ポイントも下方修正した。デジカメやゲームは、スマホやタブレットと顧客の奪い合いが激化しているためだ。
会見で平井社長は、筆頭株主の米投資会社サード・ポイント(ニューヨーク市)から提案を受けている映画や音楽事業の一部分社化について、「中核事業に関わる案件として取締役会で十分に議論する」と述べた。
サード・ポイントの提案は「電機事業が映画や音楽部門との相乗効果を出していない」(SMBC日興証券の白石幸毅シニアアナリスト)など市場の不満が背景にあるとみられる。
なによりも深刻なのは、ソニーらしいヒット商品が見当たらないことだ。「最後のヒット商品」とされる家庭用ゲーム機「プレイステーション」の発売は18年以上も過去のことだ。
6月の株主総会で社長経験者のハワード・ストリンガー、中鉢良治の両氏は取締役を退任。役員約40人は今年度の賞与の全額返上を決めるなど、「見える形で経営責任を取っている(平井社長)」。就任2年目を迎えた平井社長は、14年度の経営目標の達成に向け、“背水の陣”でのぞむ。
・2014年度にグループの売上高8兆5000億円、営業利益率5%以上
・エレクトロニクス事業は売上高6兆円、営業利益率5%
・スマホとデジタルカメラ、ゲームでエレクトロニクス事業の売り上げの約65%、営業利益の約80%を目指す
・13年度中のテレビ事業の黒字化
・新興国事業の強化