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ドコモ、販促費で“スマホ格差” ソニー以外の国内メーカーに痛手
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スマートフォンの国内シェア NTTドコモが機種によってスマートフォン(高機能携帯電話)の販促費に差をつけて値下げする方針を決めたことで、米アップルなどの海外勢に押されて採算が悪化する一部メーカーは事業戦略の見直しを迫られ、事業統合などの業界再編がさらに加速する可能性が出てきた。
NECなどはかつて「ドコモファミリー」と呼ばれ、一部開発費をドコモに負担してもらい、携帯電話を共同開発。“二人三脚”で国内携帯電話市場を築きあげてきた。
安定した需要を国内メーカー数社で分け合い、一定の販売量を確保していた。だが、国内市場偏重の結果、国際競争力を失いスマホの上陸で市場は一変した。
スマホ市場では、国内でも米アップルや韓国サムスン電子が存在感を誇る。国内トップの富士通も昨年度当初は800万台だった出荷目標台数を650万台に下方修正し、今年度も520万台と減少を見込む。
NECは昨年度、年間出荷台数が290万台と、目標を140万台下回るなど苦戦が目立つ。
ソニーやサムスン電子の人気機種と価格差がつくことで、さらなる販売量の縮小は避けられない状況で、携帯事業の見直しを突きつけられている。
NECは「携帯事業は非常に厳しく、運営を考えると海外事業者との協業なくして答えは出ない」(遠藤信博社長)として中国レノボなどとの提携を模索。富士通も他社との連携を探るなど、単独で生き残りは難しい状況だ。
今回のドコモの販売戦略は「エクスペリア」という人気機種を持つソニー以外の国内メーカーにさらなる痛手をもたらすのが確実で、製造コスト削減のための統合や、開発力強化のための再編などさらなる業界再編は不可避の情勢だ。