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パナソニック社長、異例ずくめの豪腕人事 さまざまな臆測飛び交う

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パナソニック社長、異例ずくめの豪腕人事 さまざまな臆測飛び交う

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剛腕で知られる松下電器創業者の松下幸之助氏(左)。パナソニック再生へ改革を急ぐ津賀一宏社長(右)の采配は迫れるか  改革の大ナタか、それとも“お友達人事”か-。新年度を迎えたパナソニックの役員態勢をめぐる津賀一宏社長の人事に、賛否の声があがっている。

 花形部門のトップを就任から1年ですげ替えるなど、ドラスチックな動きがあるためだ。かつて、創業者の松下幸之助氏は、赤字をだした子会社のトップを即日交代した逸話がある。パナ再生に向け、旧弊打開を急ぐ津賀社長の采配は、さらに苛烈なものとなりそうだ。

 幸之助氏の“豪腕”

 「業績の悪い子会社を訪ねて、社長の対応を不満に思ったら、その場で社長を交代させた」

 松下電器産業のあるOBは、人づてと前置きして、幸之助氏のエピソードをこう語った。

 松下住設機器という子会社をふいに訪れた幸之助氏は、同社が赤字に陥っていると聞いて激高。すぐに電話で本社からの融資を引き上げるよう指示し、松下住設の社長はショックのあまり貧血で倒れてしまった。

 それを見た幸之助氏は「会社が危機の時に、倒れるような経営者ではだめだ」とバッサリ切り捨てて、その場で同社の専務を後継に指名。翌日には辞令を出したという。

 異例ずくめの人事

 まさに創業者ならではの豪腕ぶりを示す逸話だ。それには及ばぬものの、パナソニックの再生を急ぐ津賀社長の人事手腕が、社内外の注目を集めている。

 パナソニックは4月1日に、従来9社あった社内分社を4社に再編するなど大規模な機構改革を行った。

 白物家電のアプライアンス社や住宅関連のエコソリューションズ社など、順当なトップ人事に混じって、テレビなどデジタル家電を扱うAVCネットワークス社の人事が異彩を放った。

 津賀社長の後を受け、昨年AVC社のトップに就いたばかりの吉田守氏が技術担当常務に転じ、後任に技術担当だった宮部義幸氏を選任したからだ。

 AVC社のトップは、津賀社長だけでなく、中村邦夫相談役や大坪文雄会長ら歴代の社長が務めたパナソニックの花形部門だ。

 テレビ事業の不振が業績悪化の大きな要因とはいえ、わずか1年でトップが変わるのはあまり例がない。また、社内分社のトップが技術担当役員に就任するのも初めてと異例ずくめだ。

 人選に臆測も

 宮部氏は技術担当役員として本社の研究・開発体制を刷新し、研究開発や生産技術部門の約4割を、各事業部門の支援などに振り向けるなどの津賀社長が進める改革に貢献した。

 加えて宮部氏は入社間もないころ、津賀社長と同じ研究所で机を並べた“旧知の間柄”でもある。一方、吉田氏は津賀社長との不仲もささやかれる。

 こうした津賀社長の人事について、同社幹部は「中村・大坪体制の旧弊を打開するために、改革を進める意識を持った人物が選ばれた」と説明する。

 一方で「津賀社長は自分と近い人物を引き上げている」との声も上がるなど、さまざまな臆測も飛び交う。

 古いしがらみを脱するには、まずリーダーの刷新が不可欠だ。創業者のような“豪腕”ぶりを津賀社長が今後も発揮できるかが、改革の成否を分ける。

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