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アップル成長神話に陰り サムスン躍進、経営陣の信頼もぐらつく

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アップル成長神話に陰り サムスン躍進、経営陣の信頼もぐらつく

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アップルのロゴ  米アップルの成長神話が揺らぎ始めた。生命線の革新的な製品開発に陰りが見え、ライバルの台頭もあってスマートフォン(高機能携帯電話)などの販売が鈍化。株価も低迷し、IT業界をリードしてきた王国に影が差し始めている。

 昨年9月に700ドルを突破したアップル株は先週に一時400ドルを割り込んだ。

 緩やかな米景気の回復で市場全体は上向く中、半年余りで時価総額の4割が吹き飛んだことになる。市場もアップルの先行きに危うさを感じ取っている。

 最大の不安は看板製品の失速だ。利益の7割を稼ぎ出す「iPhone(アイフォーン)」は、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を搭載した韓国サムスン電子などの端末に押されて需要が鈍化し、生産調整に追い込まれた。

 タブレット端末「iPad(アイパッド)」も他社の低価格・小型モデルの競争に巻き込まれ、アップルも小型版を昨年投入した。

 経営陣への市場の信頼も微妙に揺らぐ。カリスマとして君臨した創業者ジョブズ氏と違い、クックCEOはボトムアップと株主重視の姿勢を強めたが、ただでさえ組織が巨大化する中で経営のスピード感が失われた。

 米誌フォーブスは「早く画期的な製品を発表しない限り株価は一層下がり、クック氏の立場も危なくなるだろう」と警告する。

 アップルはテレビや腕時計型電子機器などの新分野の製品も開発中とされ、クックCEOも「驚くような新製品の開発を進めている」と期待をあおったが、詳細は明かさなかった。

 米市場が飽和状態に近づき、アップルも海外展開も進めるが、対サムスンなど世界的に特許紛争を抱え、新興国では品質・労務問題で摩擦に苦しむなど新たな難題にも直面している。

 「将来に楽観的だ」と強気を崩さぬクックCEOだが、視界は晴れない。(ワシントン 柿内公輔)

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