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強気の日本勢、主力車や売れ筋に回帰 北米自動車ショー

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強気の日本勢、主力車や売れ筋に回帰 北米自動車ショー

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 米ミシガン州デトロイトで開催中の北米国際自動車ショーで、日本メーカーはこぞって小型車や売れ筋の戦略車を出品した。

 堅調な経済を背景に米市場が拡大する中、各社は北米生産の強化など「現地化」も加速。環境対応車(エコカー)一色だった前年までとは異なり、主力車の底上げで販売の上積みを狙いがみてとれる。

 トヨタ自動車は新型「カローラ」の試作車を展示、今夏にも北米で販売予定だ。今回、同社自慢のハイブリッド技術ではなく、自動変速機の改良などで小型車クラスで最高水準の1ガロン(約3.78リットル)当たり40マイル(約64キロ)の燃費を実現した。競合車がひしめく激戦区だが、北米トヨタの寺師茂樹社長は「カローラが変わる姿をみせ、他社に勝つ」と腕まくりする。

 ホンダも「フィット」「シティ」に続く小型世界戦略車の第3弾として、SUV(スポーツ用多目的車)の試作車を公開。13年に日本、14年に米国での販売を目指す。伊東孝紳社長は「小型車が今後の世界販売の鍵を握る」と強調する。

 日本勢の強気を支えるのは、金融危機前の水準に戻った米自動車市場の地合いの堅さだ。トヨタは12年の北米生産が178万台と5年ぶりに過去最高を更新。世界販売台数でも2年ぶりに首位に返り咲き、稼ぎ頭の米国で一段の販売増を狙う。

 品質問題や東日本大震災を乗り越える過程で培った「現地化」も見逃せない。トヨタは11年秋から稼働したミシシッピ工場が北米生産を押し上げ、日産は高級SUV「ムラーノ」の生産を14年から米国に移管。ハイブリッド車(HV)の米生産を進めるホンダも「地域の生産面の自立」(伊東社長)を理想に掲げる。

 迎え撃つ米国勢も中小型車のてこ入れが一段落し、大馬力の大型車やスポーツカーの出展が目立つ。ゼネラル・モーターズ(GM)は米国を代表するスポーツカー「コルベット」の新型車が話題を集めた。

 シェールガスの開発ブームに米国中がわき、ガソリン価格も落ち着きをみせ、環境車ブームが一服。電気自動車(EV)市場も期待ほど米国で拡大しておらず、日産は14日、北米向けEV「リーフ」の大幅値下げを発表した。

 「エコカーの潮流は変わらない」(ホンダ)ものの、最近の自動車ショーでガソリン車などの売れ筋モデルが“復権”を果たす姿に、米市場の風向きの変化がみて取れる。(デトロイト 柿内公輔)

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