フィリピン 三輪タクシー電動化“暗礁” 融資条件整わず規模縮小

2014.7.16 05:00

 フィリピンでガソリン式三輪タクシー「トライシクル」を電動化する国家プロジェクトが暗礁に乗り上げている。同国エネルギー省によると、同プロジェクトはアジア開発銀行(ADB)の融資などを受けて進められるが、実施主体の地方自治体の中には融資条件が整わない自治体があることから、電動トライシクルの導入台数を大幅に引き下げるとしている。現地紙インクワイアラーなどが報じた。

 同プロジェクトは、現在、約350万台あるとされるガソリン式三輪タクシーのうち10万台を2017年までに電動化する計画だ。総事業費は5億400万ドル(約512億円)で3億ドルをADBが融資する。

 同省によると、一部の自治体が事業の維持管理などの行政能力が不十分との理由で、融資に必要な認証を内務自治省から取得できていない。そのため、事業規模が縮小され、今年の電動トライシクルの導入台数は当初予定の3000台から500台へと大きく下回る見通しだ。

 また、導入される電動トライシクルの製造態勢にも進展がみられない。昨年8月に入札が実施され、日本からテラモーターズ(東京都渋谷区)が参加する企業グループなど計4業者が応札したが、入札結果の発表は延期されたままになっている。

 フィリピン政府は電動トライシクルをはじめ電気自動車産業を育成する方針だが、弾みをつけるべき同プロジェクトがなかなか“発車”できない形だ。(シンガポール支局)

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