2014.6.28 00:10
株主総会の開催が27日、ピークを迎え、武田薬品工業や三井不動産など959社が開いた。社外取締役の導入を事実上、義務づける改正会社法が20日に成立し、24日に閣議決定された新成長戦略では、企業統治(コーポレートガバナンス)の強化策が盛り込まれた。総会では社外取締役の導入が相次ぎ、株主の厳しい姿勢が際立つなど、投資家による経営陣への監視や双方の対話で企業の成長を促そうとする大きな流れを印象づけた。
27日に開かれた任天堂の総会は、岩田聡社長が病気療養中のため欠席。株主からは「抽象的な説明ばかりだった」と、経営陣への不満の声が漏れた。
経営陣のやり方を黙認してきた日本流の総会は、変わり始めている。改正会社法が施行されると、社外取締役の未選任企業は総会で理由を説明しなければならなくなるため、今回、導入の動きが本格化。東証1部上場で選任済み企業の比率は1年前から11・9ポイント上昇し、74・2%と過去最高。成長戦略で打ち出された「コーポレートガバナンス・コード」では、社外取締役の人数や独立性について原則を定めるとみられ、企業統治強化は進みそうだ。
政府は今年、機関投資家の行動原則「日本版スチュワードシップ・コード」を策定。「物言わぬ株主」とされる国内機関投資家に、企業との対話を促す。こうした中、カプコンの16日の総会では、敵対的買収に対抗措置を取るための買収防衛策を継続する議案が否決。防衛策は経営陣の保身につながるとして海外投資家を中心に反対が強い。
一方で増配や自社株買いなどの株主提案は、ほとんどが否決されたようだ。大和総研の深沢寛晴主任コンサルタントは「否決でも、開示される賛成比率が高ければ企業に圧力となる」と指摘。多方面からの監視で、経営効率化を後押しすることが期待される。(10面に関連記事)