萩生田光一経済産業相は24日、視察先の熊本市内で記者団の取材に応じ、御なく放出を決めた米国などと歩調を合わせるため、国家備蓄から数十万キロリットルの石油を放出すると明らかにした。時期は精査中とし、油種の入れ替えで対応する。油種入れ替えを行うことで市場の供給量が増えるため、結果的に価格抑制効果も期待できる。
萩生田氏は「油種の入れ替えで、数十万キロリットルを前倒しで売却する」と述べた。経産省によると、諸外国と協調して前倒しの判断を行うのは初めてとしている。通常、油種の入れ替えは、過去に調達した原油を売却し、現状に合わせて使いやすい別の性状の原油を市場から調達することを指し、年に数十万キロリットルの入れ替えをしているという。
岸田文雄首相は放出に関し「原油価格の安定は新型コロナウイルスからの経済回復を実現する上で大変重要な課題だ」と意義を強調。米国と連携して国際石油市場の安定を図るため「石油備蓄法に反しない範囲で備蓄の一部売却を決めた」と説明した。
ただ、今回、数日分の放出を行っても需給に与える影響は限定的になるもようで、原油価格上昇を抑えられるかは未知だ。