政府は22日、岸田文雄首相がベトナムのファム・ミン・チン首相と24日に官邸で会談すると発表した。中国が東・南シナ海で海洋進出を強める中、両首脳は法の支配など「自由で開かれたインド太平洋」構想や、新型コロナウイルス対策での協力などについて協議する。岸田首相が10月の就任後、国内で外国首脳と会談するのは初めてで、対面外交を本格化する。
両首脳は24日の会談後に共同記者発表を行い、首相は公邸で夕食会も開催する。チン氏は実務訪問賓客として22~25日の日程で来日し、23日には栃木県を訪問する予定だ。
日本にとって東南アジア諸国連合(ASEAN)は同構想を進める上での要で、中でもベトナムは「広範な戦略的利益を共有するパートナー」(外務省)だ。ベトナムは南シナ海で中国の軍事拠点化や領有権争いに直面しており、政府関係者は「日本と問題意識を共有している」と打ち明ける。
首相は今月2日に英国で開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)に出席した際もチン氏と会談した。9月には岸信夫防衛相がベトナムを訪問し、防衛装備品・技術移転協定に署名するなど、関係を強化している。