国内

自民、改憲へ議論前進図る 維新・国民と連携かぎに

 岸田文雄首相(自民党総裁)が意欲を示す憲法改正の実現は、衆参の憲法審査会の議論に多くの野党を巻き込むことがかぎとなる。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が13、14両日に実施した合同世論調査では55・5%が改憲に賛成、33・9%が反対だった。議論進展の土壌はあり、自民は先の衆院選で存在感を増した日本維新の会、国民民主党と連携し、現状打開を図る考えだ。

 世論調査で改憲賛成の割合を支持政党別にみると、自民支持層で72・7%、維新支持層で59・4%を占めた。野党第一党の立憲民主党支持層は20・2%に過ぎず、反対の65・1%を大きく下回った。立民の積極姿勢が望みにくい中、維新との連携が議論を進める上で重要となる。

 9日夜、自民、維新両党の幹部6人が都内で会食した際、話題は憲法改正にも及んだ。「一度は国民の手で国民投票をやってもらいたい」。自民の茂木敏充幹事長がこう意欲を示すと、維新側も「その通りだ」と賛同した。維新の遠藤敬国対委員長は「国会に3つの大きな山ができた。立民や共産党が欠席しても憲法審を開くべきだ」と求めた。

 円満な運営を掲げる憲法審では、野党欠席の中で開催に踏み切ることはタブー視される。従来、憲法審を含む野党の国会戦術は野党第一会派の立民が主導し、「自由討議」は1~6月の通常国会で3回しか行われなかった。

 しかし衆院選の結果、与党のほか、野党が「立民・共産」「維新・国民」の勢力に分かれて「3つの大きな山」ができ、維新・国民が出席すれば「野党欠席」とはいえない-というわけだ。衆院選で改憲に前向きな維新は41議席を得て約4倍に拡大。国民民主は憲法審を含む国会運営で立民・共産と連携していたが、衆院選後に枠組みから離脱、憲法審を毎週開くべきだとの方針で維新と合意した。

 茂木氏は会食翌日の10日、衆院憲法審筆頭幹事の新藤義孝元総務相(自民)と会い、改憲議論の現状を確認した。

 憲法改正の是非は最終的に国民投票で決まることを踏まえ、世論を二分させないため、できるだけ多くの党の賛同を得る形で発議すべきだというのが自民内でも共通認識となっている。衆院憲法審査会長には2年ぶり再登板の森英介元法相が起用され、筆頭幹事に新藤氏が再任されたのは、岸田政権でも路線を変えないという意思表示といえる。

 この路線で状況を打開できなかったが、自民が維新・国民と組めば「消極的なのは野党の一部(立民・共産)だけという構図になる」(自民ベテラン)。立民は世論の風当たりが強まり、改憲議論に乗らざるを得なくなる-との読みもある。(田中一世)

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