海外情勢

資産売却命令相次ぐ可能性も 韓国の徴用工訴訟

 【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工関連訴訟で27日、敗訴が確定した日本企業の資産売却を命じる初の決定が韓国の裁判所で出され、現地紙では現金化までに残された時間は「1年程度」とする分析も出た。

 韓国中部・大田(テジョン)地裁が売却を命じたのは、元女子勤労挺身隊員が賠償を求めた三菱重工業の商標権や特許権。韓国最高裁は資産差し押さえを不服とした同社の再抗告を今月10日、棄却していた。同社側は裁判所の決定内容の送達を受けた後、売却命令に対する抗告などの手続きに入る見通しで、韓国紙の東亜日報は「実際の売却までには1年程度かかる可能性がある」と報じた。

 関連訴訟では、今年8月にも資産差し押さえを不服とした日本製鉄の即時抗告が地裁で棄却されるなどしており、今後も売却命令が相次ぐ可能性が高い。

 日本政府は原告らの個人請求権問題について、1965年の日韓請求権協定で「解決済み」との立場。一方、韓国外務省の報道官は28日の会見で、日本が韓国側に解決策の提示を求めていることについて「問題解決の何の助けにもならない」と不快感を示した。来年3月の大統領選を控え、文在寅(ムン・ジェイン)政権が具体的な対策を講じる可能性は「極めて低い」(与党関係者)とみられている。

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 茂木敏充外相は28日の記者会見で「明確な国際法違反だ。現金化は日韓両国に深刻な状況を招く」と抗議した。

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