【ロンドン=板東和正】熱波に起因する山火事や豪雨による洪水などの異常気象が世界各地で相次いでいる。気候変動の影響が指摘される中、国連は、その原因は人類が排出した温室効果ガスであると断定。異常気象を食い止めるために排出量削減などの早急な対応を求めている。
AP通信によると、ギリシャ全土で3日から記録的な熱波による山火事が多発した。首都アテネ近郊のエビア島ではこれまでに4万9000ヘクタール以上が焼け、6万人を超える市民が避難した。
ギリシャのミツォタキス首相は9日のテレビ演説で「未曽有の規模の自然災害だ」と強調。「過去約30年で最悪の熱波」(AP)が国内を襲ったことを踏まえ、気候変動が影響しているとの認識を示した。
大規模な火災は気温が上昇する各地で次々と起きている。イタリアでは南部シチリア島で11日に48・8度が記録され、欧州での観測史上最高気温を更新。同国では7月下旬以降、100カ所以上で火災が発生している。熱波に見舞われた米西部カリフォルニア州、カナダ、トルコでも7~8月にかけ山火事が拡大した。
気温上昇は大気中の水蒸気量を増やし、豪雨も引き起こすとされる。ドイツやベルギーでは7月中旬、豪雨による洪水が広がり、200人以上が死亡。中国河南省でも同月に300人以上が豪雨で犠牲になった。
米海洋大気局(NOAA)は今月13日、7月の世界の平均気温は16・73度と142年間の観測史上で最も暑い7月だったと公表。スピンラッド局長は「気候変動の影響で地球が破滅的な道を歩んでいる」と危機感をあらわにした。