海外情勢

トルコ大使、ウイグル族の人権懸念 日本と経済強化

 トルコのコルクット・ギュンゲン駐日大使(53)は産経新聞のインタビューに応じ、同国政府が中国に対し、新疆ウイグル自治区での人権状況について「懸念」を伝えていることを明らかにした。また、交渉中の経済連携協定(EPA)締結を含め、日本との経済関係を強化したいと述べた。ギュンゲン氏は3月に東京に着任し、5月に天皇陛下に信任状を捧呈して正式に大使の職務を始めた。

 自治区ではイスラム教徒少数民族ウイグル族への強制的な収容や不妊手術などの人権侵害があるとして国際社会が問題視。ギュンゲン氏は5日のインタビューで、トルコはウイグル族と歴史的、文化的に深いつながりがあるとし、「トルコ政府として、ウイグルに関し抱いている懸念を中国政府に伝えており、これからもそうする」と明言した。

 トルコで暮らす約5万人のウイグル人は、中国との間で署名された犯罪人引き渡し条約が近く批准されれば条約に基づき送還される可能性があると懸念している。ギュンゲン氏は「ウイグル人を送還した事実はないし、その意思もない」と述べた。

 アフガニスタン駐留米軍の完全撤収後に首都カブールの国際空港でトルコ軍が警備を実施する案に関し、ギュンゲン氏は協議中であると述べるにとどめた。また、トルコで2016年7月15日に起きたクーデター未遂事件の首謀者が在米イスラム指導者ギュレン師であると強調し、「このテロ組織とも毅然(きぜん)とした戦いを続けていく」と語った。

 ギュンゲン氏は、1890年に現在の和歌山県串本町沖でトルコの軍艦「エルトゥールル号」が遭難し、地元の人々が救助に当たった史実などを挙げ、「両国は将来に向けてお互いのことを必要とする」と指摘。教育、医療、科学技術の分野で協力を深めたいと強調した。(聞き手 加納宏幸)

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