海外情勢

香港民主派の周庭氏が出所、模範囚で刑期短縮、

 【台北=矢板明夫】2019年6月の香港警察本部包囲デモをめぐり、昨年12月に無許可集会を扇動した罪などで禁錮10月の実刑判決を受けて服役していた香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)氏(24)が12日、出所した。

 周氏の刑期は今年9月下旬までだったが、模範囚として刑期が短縮された。

 周氏は、待ち構えていた報道陣の問いかけには答えず、無言で迎えの車に乗った。香港からのテレビ中継では、白いTシャツにマスク姿の周氏は、獄中生活でやつれたように見えた。

 周氏はその後、写真共有アプリ、インスタグラムに投稿し「苦痛の半年と20日がやっと終わった。(待っていた報道陣などに)雨の中、来てくれたみなさんごめんなさい。この間、やせて衰弱したので体をいたわって休みたい」と表明。投稿画像は真っ黒だった。

 ただ、周氏は中国が昨年6月末に制定した香港国家安全維持法(国安法)違反容疑で昨年8月に逮捕されている。「外国勢力と結託し国家の安全に危害を加えた」との容疑だが、改めて国安法違反で起訴、収監される懸念も残っている。

 周氏は今年2月に、「刑務所での生活は心身ともにつらい。出たら少し身体を休ませたい」と代理人を通じて会員制交流サイト(SNS)に投稿していた。

 台湾に在住する香港人弁護士の桑普氏は「周庭氏は出所できたが、当局に厳しく監視されるカゴの鳥の状態は当分続く。そっとしておくことが彼女への最大の支援だ」と話している。

 周氏は14年秋に香港で起きた民主的な選挙を求める抗議活動「雨傘運動」を主導した学生リーダーの一人で、19年の逃亡犯条例改正案に抗議するデモにも積極的に参加した。独学で覚えた流暢(りゅうちょう)な日本語でも発信を続け、香港民主化への支持を訴えていたことから日本でも知名度は高かった。

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