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福島第1の処理水放出、規制委で議論開始 東電が濃度測定の手順提示

 東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した処理水の海洋放出について、原子力規制委員会の廃炉に関する検討会合が7日開かれ、東電から、専用タンクで放出前の処理水に含まれる放射性物質の濃度を測定する案が示された。放出に必要な設備の設計や手順をまとめる東電の実施計画は規制委の認可を受けなければならず、政府が放出開始の目標とした2年後に向けて具体的な議論がスタートした。

 検討会合で東電は、検討を進めている実施計画をめぐり、(1)希釈前の処理水の放射性物質濃度測定(2)希釈設備の設計(3)希釈後の濃度測定(4)トラブル発生時の対応(5)取水と放水の方法(6)自然災害などへの備え-の6つの論点を提示。その上で(1)について、浄化設備で除去できない放射性物質のトリチウム濃度などを測定する手順を説明した。

 東電によると、処理水は放出前に放射性物質の濃度が基準を下回っているかを測定する。測定には約2カ月かかるため、既存の貯水タンクのうち計約3万トン分を改造し、専用タンクとして転用する。そこで濃度を確認した後、くみ上げた海水で希釈して海に出す。

 希釈後の処理水は、希釈前の濃度とくみ上げた海水量から濃度を割り出し、安全性を確認する。設備の故障などが生じた場合、放水を緊急停止する遮断弁を設置する方針も示された。

 処理水放出をめぐっては、東電が海底に配管を設けて沖合約1キロに出す案と、直近の沿岸に出す案を検討していることが判明している。しかし、この日の検討会合では、放出後に海域で処理水の拡散が促進される方法などを検討する考えを示すにとどまった。

 出席者から放水に向けた全体的な工程について問われる場面もあったが、東電は検討を進めているとしながらも、「スケジュールありきで考えていない」として明言を避けた。

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