国内

「上級国民」批判恐れ、ワクチン接種で悩む国会議員 派閥パーティー批判も

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、国会議員がワクチン接種の対応で頭を悩ませている。接種希望者が殺到している最中に注射を打てば、「上級国民だ」と糾弾されかねないためだ。秋までに行われる衆院解散・総選挙を見据えた「軍資金」集めとなる自民党各派閥の政治資金パーティーも「コロナ禍にけしからん」との批判を避けるため、開催時期をずらす動きが出てきている。

 「差別化する必要はなく、自然体でやっていけばいいのではないか」。自民党の野田聖子幹事長代行は11日の記者会見で、国会議員へのワクチン接種も一般と同じく高齢者優先で行うべきだとの考えを示した。

 高齢の国会議員については、集団感染が立法府の機能低下を招く懸念があるため、国会内の施設を使った接種も水面下で検討されている。しかし、接種の申し込みが殺到し、混乱が生じている地方自治体が少なくない中、「特別扱い」と批判されることを心配する国会議員もいる。

 実際、1月に自民党本部の全職員を対象にPCR検査の実施を決めた際には一部から不満の声が寄せられた。党幹部は「国民と全く同じルールでやったとしても『特権階級』と攻撃される可能性がある。少し落ち着いてから接種した方がいいかもしれない」と語る。

 自民は政治資金パーティーの対応にも苦慮する。岸田派(宏池会)は19日に行う予定だったが、コロナ禍での開催が批判を招きかねないこともあり7月8日への延期を決めた。岸田文雄会長は今月13日の派閥会合で「国民から疑念を抱かれるようなことは控えなければならない」と説明した。

 党内7派閥のうちパーティーを行ったのは4月の麻生派(志公会)のみで、岸田派以外の5派は東京都に31日まで発令中の緊急事態宣言が解除された後の6月を予定している。ただ、感染が拡大すれば宣言延長の可能性がある上、宣言解除後でもパーティーで感染者を出せば批判されかねない。ある派閥のベテランは「しばらくパーティーを開くのは難しいのではないか」と悲観的に語った。(今仲信博、広池慶一)

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