海外情勢

ブラジルで中国製ワクチンの社会実験 感染者は大幅減

 【ニューヨーク=平田雄介】ブラジル・サンパウロ州のセハナ市で、新型コロナウイルスの中国製ワクチンを集団接種する社会実験「プロジェクトS」が実施された。18歳以上の成人の98%が接種し、新規感染者が大幅に減少したと米紙ウォールストリート・ジャーナルが10日までに伝えた。

 使用したのは中国製薬大手、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)製のワクチン「コロナバック」。米欧製と比べて有効性が低いとされるが、報道を受け、米欧製を入手できない途上国などでの感染予防効果が期待されている。

 実験を行ったのはサンパウロ州の公的機関、ブタンタン研究所。コロナバックの無償提供を受け、人口約4万5600人のセハナ市で2~4月に計約2万7150人に接種した。

 4月の新規感染者数の1日平均は、3月の67人から75%減って17人。死者6人のうち5人は1回目の接種を終えた段階だった。残り1人も感染したのは2回目の接種前とみられ、接種2回完了後の死者はいなかった。

 同研究所は今月中に実験結果を発表する見通し。南米で猛威を振るう変異株に対する有効性や集団免疫を獲得できたのか-などの結果も注目されている。

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