【北京=三塚聖平】中国の李克強首相は28日、ドイツのメルケル首相とオンライン形式で会談した。李氏は「両国は、世界の主要経済国、影響力がある国として多国間主義や自由貿易を支持しており、開放的で相互にメリットのある協力の見本を示すべきだ」と強調した。
バイデン米政権が同盟国などと連携して対中圧力を強める中で、中国との経済的な結びつきが強いドイツに協力を呼びかけた。
李氏は、両国の協力の意義について「国際的なサプライチェーン(供給網)の安定に有益だ」と主張した。米国が、各国に中国企業の排除を訴えていることが念頭にある。
一方で「中独には、いくつかの問題で異なる見方がある。これは客観的な事実だ」と指摘。その上で「双方が、互いの核心的な利益や重大な関心について尊重し、内政に干渉しない」ことが重要だと主張した。米国が批判を強める新疆ウイグル自治区や香港、台湾などの問題で干渉しないようドイツ側に求めた形だ。
5月上旬にロンドンで開かれる先進7カ国(G7)外相会合を前に、ドイツを中国側に引き寄せる狙いもあるとみられる。