政府は23日、新型コロナウイルス禍の影響を強く受ける困窮世帯や営業時間短縮に応じた飲食店などへの総額2兆1692億円の追加支出と、企業の資金繰り強化を決めた。個人や企業の資金需要が高まる年度末を控えた追加対策で、追加支出は困窮する子育て世帯への特別給付金や時短要請に応じた飲食店への協力金に充てる。
財源は新型コロナウイルス対策予備費の残額を取り崩して対応する。
コロナ禍で困窮する子育て世帯への特別給付金は3度目だが、過去2回は一人親世帯を対象に第1子は5万円、第2子以降は3万円を支給した。今回は二人親世帯も対象として、子供1人当たり一律5万円を支給するとして、2175億円の予算を確保した。
一時的に生活費が必要な個人に最大20万円を貸し出す「緊急小口資金」などの特例貸し付けの拡充に3410億円、飲食店の協力金となる地方創生臨時交付金は1兆5403億円を、それぞれ追加する。
一方、コロナ禍で厳しい状況が続く飲食、宿泊業の資金繰り強化も決定した。
民間金融機関との協調融資が原則の日本政策投資銀行や商工中金など政府系金融機関の単独融資を可能とすることが柱。審査期間も1カ月程度に短縮し、迅速な対応を進める。
菅義偉首相は同日の関係閣僚会議で「きめ細かい対応を政府一体となって行う」と強調した。
政府のコロナ予備費は2020年度1次補正、2次補正で計11兆5000億円が計上されたが、今回の追加支出で残額は5079億円となる。