経済インサイド

格安スマホ、低容量で対抗プラン続々も、忍び寄る大手の触手

 格安スマートフォン事業を手掛ける仮想移動体通信事業者(MVNO)の料金値下げが相次いでいる。携帯大手がデータ容量20ギガバイトのオンライン専用プランを新たに立ち上げたほか、MVNOが得意とする10ギガバイト以下の小容量帯でもMVNOと同水準の割安プランで触手を伸ばしているからだ。MVNOは対抗する構えを崩さないが、資本で太刀打ちできない実情に悲鳴が上がっている。

 「マイネオ」を展開する関西電力傘下のオプテージは27日、2月から月額料金を1ギガバイトで1180円、5ギガバイトで1380円、10ギガバイトで1780円、20ギガバイトで1980円に改定すると発表。翌28日には、KDDI(au)傘下でケーブルテレビ最大手のジュピターテレコム(JCOM、東京都千代田区)が1ギガバイトで月額980円、5ギガバイトで同1480円、10ギガバイトで同1980円、20ギガバイトで同2480円の新プランの同月からの投入を打ち出した。

 JCOMは自社の動画配信サービスのデータ通信をカウントしないサービスで差別化を図っている。

 MVNOの値下げが続くのは、政府の要請を受け携帯大手が20ギガバイト以下の小中容量帯の値下げを相次いで打ち出しているからだ。MVNO各社に衝撃を与えたのが1月にKDDIが発表した格安ブランド「UQモバイル」の新プラン。3~25ギガバイトの3つのプランのうち、3ギガバイトで月額1480円のプランはMVNOと同水準だ。楽天も4月から導入する新料金プランで、1ギガバイト以下を無料にするなど、MVNOでは太刀打ちできない価格を打ち出した。NTTドコモの小容量帯の新プランの発表も控えている。

 MVNOのシェア2位のインターネットイニシアティブ(IIJ)は近く新プランを発表する見通しで、MVNOの競争は激しさを増している。MVNOの関係者は「大手が矢継ぎ早に新プランを出してきて、対抗策のタイミングがどんどん前倒しになっている」と表情を曇らせる。

 MVNO各社が加盟する業界団体は18日、総務省に対し「公平な競争ができない」として、大手から回線などを調達するコストを引き下げる緊急措置を求めた。武田良太総務相は29日の閣議後会見で「MVNOには価格面での競争に加えて、特色のあるサービスを提供し、競争の軸として、大いに活躍いただきたい」と述べたが、600以上あるMVNO事業者の淘汰(とうた)が進みそうだ。(経済本部 高木克聡)

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