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菅首相、安全運転で代表質問乗り切る 野党は週明け予算委で攻勢

 国会は22日、参院本会議が行われ、衆院を含め3日間の代表質問を終えた。立憲民主党や共産党などの野党は菅義偉首相のこれまでの新型コロナウイルス対策や「政治とカネ」の問題を責め立てたが、首相は安全運転を徹底し、無難な答弁で乗り切った。ただ、週明けからは衆参予算委員会の質疑を控えており、首相と野党の攻防はさらに激しさを増しそうだ。

 「一日も早く感染を収束させ、国民が安心して暮らせる日常を取り戻すべく全力を尽くす」。首相は改めて新型コロナ対策に全力を尽くす考えを強調した。

 この日、質問に立った共産党の小池晃書記局長は、政府が閣議決定した新型コロナ特別措置法と感染症法の改正案について「罰則や制裁による強制は社会の分断を進めることになり、感染症対策に逆行するのではないか」と迫ったが、首相は「支援や罰則など必要な見直しを検討してきた。逆行するとは考えていない」と切り返した。

 また、小池氏が衆院議員を辞職した元農林水産相の吉川貴盛被告を東京地検特捜部が収賄罪で在宅起訴したことや、令和元年7月の参院選広島選挙区をめぐる買収事件で公選法違反の罪に問われた参院議員の河井案里被告が21日に東京地裁で有罪判決を言い渡されたことなど一連の「政治とカネ」の問題を追及したのに対しては、「政治家は責任を自覚し、国民に疑念を持たれないよう常に襟を正すべきものだ」と慎重に答弁した。

 首相は国会論戦の序盤となる代表質問を乗り切ったが、週明けの25日から始まる予算委の質疑は「一問一答形式」で臨機応変に答弁することが求められるため、野党による首相への追及は一層厳しさを増す。また、代表質問では首相がせき込む場面も多く、連日新型コロナ対応にあたってきたことによる疲労の蓄積もうかがわせた。

 21日の参院議院運営委員会理事会では立民側から首相の答弁時間の短さの指摘があり、22日の本会議では立民の田名部匡代氏から改めて「答弁の長い短いではなく、明確な答えと丁寧な説明を求める」と物言いがついた。与党からは「因縁をつけているみたいだ」(自民党幹部)と首相を擁護する声が上がったが、内閣支持率の下落に歯止めがかからない中、野党は予算委で一気に攻勢をかけるとみられる。反転攻勢の転機をうかがう首相だが、しばらくは耐え忍ぶ日々が続きそうだ。(永原慎吾)

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