東京都と埼玉、千葉、神奈川3県への緊急事態宣言再発令は、関西にもさまざまな影響が及ぶことが懸念されている。
目前に迫っている私立大の入試。早いところは1月末から始まり、2月上~中旬がピークだ。すでに出願も昨年末から始まっており、受験を不安視する生徒らもいるかもしれない。
ただ、首都圏も含めた私立大の中には全国の主要都市に試験会場を設ける大学もある。大手予備校「河合塾」大阪北キャンパス東大・京大・医進館校舎長の佐伯淳史さん(38)は、そもそもコロナ禍の受験動向として「首都圏での受験を避けるため、地元の試験会場を選ぶ動きは昨年末からあった」と説明する。
今年の受験生は感染拡大への不安などから安全志向が強く、そもそも都市部の大学を避ける傾向もあるという。
一方、国公立大の2次試験では昨年、北海道での感染拡大に伴って北海道大が後期日程の試験を中止し、大学入学共通テストの前身のセンター試験の結果のみで合否判定をした例がある。佐伯さんは「まずは共通テストでしっかり点を取ることが重要だ」とする。
佐伯さんは「共通テストが予定通り実施され、高校の臨時休校もないことをまずは前向きに受け止めるべきだ」とした上で、受験生に対して「宣言に惑わされず、目の前の勉強に集中してほしい」としている。
緊急事態宣言の再発令をめぐっては、今月11日に期限を迎える観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止措置が再発令に伴い延長される見通しとなり、観光地からは不安の声が漏れる。
「観光業と飲食業にとっては大打撃。出口が見えない暗いトンネルに入り込んだようで、困り果てている」。こうこぼすのは、京都・嵐山で土産物店を営む嵐山商店街の石川恵介副会長(51)だ。嵐山は昨秋の紅葉シーズンは一時にぎわったものの、その後の感染拡大の影響で再び閑散とした状態が続く。
コロナ禍で店の売り上げは例年の2割程度まで落ち込んだが、「Go To」事業によって4~5割まで回復していた。それだけに「延長されれば、国から受けた融資も返すあてがなくなってしまう」と明かす。
再発令では主に観光業と飲食業が措置の対象となりそうだ。石川副会長は「理不尽で、これ以上はもたない」とした上で、「政策も期限を決めて、感染者が減るなどきちんと結果が出るよう徹底してほしい」と訴えた。