【ワシントン=塩原永久】米議会上院の共和党トップ、マコネル院内総務は30日、家計への現金給付額を2千ドルに引き上げる法案の採決を見送る方針を示した。現在の会期中に可決しなければ法案は廃案になるため、トランプ米大統領が求めた給付増が早期に実現する可能性は低くなった。
マコネル氏は演説で給付増の法案が「上院をすみやかに通過する現実的な道筋はない」と指摘。来年1月3日に新たな会期が始まるが、現在の会期中に採決する考えがないと示唆した。
財政規律を重視する共和党は上院で多数派を握る。大幅な支出増につながる現金給付増額に慎重な声が根強く、マコネル氏はトランプ氏の要求を拒んだ形だ。
新型コロナウイルスに対処する約9千億ドル(約93兆円)の追加経済対策には、1人最大600ドルの現金給付が盛り込まれた。トランプ氏はこれを2千ドルに引き上げるよう要求。同氏に同調した民主党のペロシ下院議長は、同党が議席の過半数を占める下院で給付増の法案を可決していた。