大手を含む企業の間で年賀状を廃止する動きが広がっている。東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドや敷島製パンは令和3年以降、年賀状でのあいさつをやめる方針。虚礼廃止を理由に挙げる会社が多いが、新型コロナウイルスによる在宅勤務の拡大で社内で年賀状の作成を行う時間が取れなくなったと説明する企業もある。
敷島製パンは虚礼廃止を理由に挙げる。ここ数年、社内で見直し議論を続けてきた中で、今回決めたという。自動車部品大手の市光工業も虚礼廃止が主な理由。同社は平成29年に仏ヴァレオの傘下に入っており、広報担当者は「外資系企業になったことで廃止の検討を続けてきた」と話す。
ESG(環境・社会・企業統治)経営を意識する中で、大量に紙を使用する年賀状を続けていいのかという議論から廃止を決めた企業もある。広告代理店の大広は「環境負荷の軽減やデジタル化対応の観点で進める全社的なペーパーレス化の一環」と説明。年賀状を廃止した大手金融機関の担当者も「持続可能な経営を掲げる中で、(年賀はがきを販売する)日本郵便には悪いが、紙を大量に使う年賀状は廃止することになった」と語る。
さらに、今年猛威を振るった新型コロナが廃止の動きを加速させた。化学品メーカーの三洋化成工業の広報担当者は「年賀状作成を業務の一環として扱ってきたが、働き方改革でやめるべき業務の洗い出しを徹底したことに加え、新型コロナで社員の出社を抑制している中で作成時間がなくなった」と打ち明ける。ライオンの担当者も、コロナでの自粛ムードに加え、「在宅勤務で出社が少なくなっているため、来年の年賀状は中止することになった」と説明する。
「すでに取引先企業などから年賀状廃止のあいさつをもらっており、『それならば当社も』ということになった」(メーカーの担当者)と、廃止増加の流れに追随した企業もあったようだ。