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嫁ぐなら公務員がいい! コロナ禍の中国結婚事情

 11月11日、売り上げ約12兆円というすさまじい数字を記録して、今年も「独身の日」は過ぎた。今では「ネット通販のお祭り」と化していて、何十秒でいくら売り上げたかという額に注目が集まるが、独身の日をメインで支える独身者たちの数も無視できない。(ノンフィクション作家・青樹明子)

 とにかく多い。2020年中国・民政省発表のデータによると、成年独身者は2億4000万人で、うち7700万人が1人暮らしなのだそうだ。

 独身者の多さは中国特有の事情もあるが、結婚が徹底した「条件重視」であることも、理由の一つだろう。「門当戸対」という言葉のように、結婚はお互いの条件が釣り合って初めて成立すると考える。「愛さえあれば」というロマンは、一般的ではない。

 そうしたなか、中国・独身女性の間で起きているのが「嫁ぐのなら公務員がいい」という風潮である。新型コロナウイルス禍で安定を求めるのは就職だけではなく、結婚も同じだ。

 なぜ公務員が結婚相手に人気なのか、メディアやネットではいくつかの理由を挙げている。

 ▽公務員は「少々太め」である 「心寛体胖(体の大きい人は心が広く穏やかである)」の言葉通り、スリムな体形はもはや時代遅れだ。流行の最先端は「少々太め」で、毎日パソコンの前に座ったまま動かない公務員たちは、その代表例である。

 ▽公務員は「ストレスに強い」 彼らは仕事上、無数の難題を抱えている。その数は他の職業の比ではないので、ストレス慣れしていると言っていい。

 ▽公務員は「ハードワークをいとわない」 つまり辛抱強い。そういえば、北京で外務省近くのアパートに住んでいたが、夜遅くまでオフィスに明かりがついていた記憶がある。

 ▽公務員には「支援者が多い」 公務員は安定した職業なので、離職率が低い。上司・同僚とは付き合いが長くなり、人間関係は強固である。みな家族同様に親しく、困ったときには全力で助け合う。

 その他、「ルールを守る意識が高い」(罪を犯しにくいということか)、「試験に強い」(昇進試験は得意?)、「『定力(心を乱されない力)』が強い」(結婚生活には不可欠)などが挙がっている。

 習近平政権の腐敗撲滅で、公務員は人気低下の傾向にあった。しかしコロナ禍をはじめ、米中貿易摩擦など、危機の時代を迎え、就職のみならず、結婚も公務員人気が高まっているようである。

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