日本取引所グループ(JPX)傘下の東京証券取引所が終日売買を停止した問題に、投資家は厳しい目を向けている。JPX株の19日終値は2710円で、9月11日につけた上場来高値の3020円から1割低下した。金融庁は行政処分も視野に入れており、JPXは信頼回復が急務となっている。
JPXの19日の説明では、システム納入後のテストの方法や速やかな売買再開に向けたルールの不備など、運用面で複数の課題があったことが明らかになった。
JPXは16日、金融庁に問題の経緯や原因、再発防止策を報告。今週中にも、市場参加者を交え、システム障害発生時の対応やルール作りに向けた協議を始める。これらと並行して、JPXの社外取締役で構成する調査委員会も独立した立場で調査を進めている。
今後の焦点はJPXの経営責任の取り方だ。東証はシステムの納入元の富士通には賠償を求めない方針。東証の宮原幸一郎社長は1日の記者会見で「再発防止策に万全を期し、経営責任の明確化を果たしたい」と述べており、金融庁の判断を踏まえ、自らの処分を明らかにする見通しだ。(米沢文)