PR

国際社会で広がる台湾支持、世界に貢献する「善良なパワー」 (2/4ページ)

世界に貢献する「善良なパワー」

台北駐日経済文化代表処・謝長廷代表

 双十節は中華民国の誕生を記念する日です。孫文先生が1911年10月10日の辛亥革命により、中華民国を建国しました。今年は109回目です。当時の中華民国は、アジア初の民主共和国でした。

 しかし、民主主義の理想は、中国大陸では実現せず、中華民国政府が1949年に台湾に移って以降、台湾の人々が無数の困難を乗り越え、一歩一歩、民主化を実現させてきたのです。

 台湾はこれまで7回にわたる総統の直接選挙が行われました。2016年の総統選挙で3回目の政権交代となり、蔡英文総統が就任しました。今日の台湾は名実ともに民主主義社会になったといえます。

 台湾の人々は一人一人が幸せに生きられ、自分たちのリーダーも直接選挙で選ぶことができます。これらはわれわれ台湾の誇りなのです。

 他方、中国大陸では長年にわたり中国共産党政権が政治の民主化を拒否し続け、自由と民主主義を求める人々の行動を反乱だと決めつけ、弾圧してきました。近年は香港へも弾圧を拡大し、その攻撃の矛先は台湾の民主主義にも向けられています。

 中国は「一国二制度」の受け入れを台湾に迫っていますが、台湾の蔡英文総統は「一国二制度を断じて受け入れない」と明確に主張しています。

 今年初め、中国の武漢で新型コロナウイルスによる感染症が発生した際、台湾は未加盟の世界保健機関(WHO)に頼ることができず、自分たちの力だけで切り抜けなければなりませんでした。しかし、世界で感染が蔓延するなか、台湾は感染の封じ込めに成功しました。

 これは、台湾の自由、民主主義の透明な制度が、感染対策に優れていることを証明しています。

 台湾は「善良なパワー」である、と蔡英文総統は述べています。世界中で感染が広がるなか、「Taiwan Can Help」、つまり「役立つ力」をめざし、実行してきました。台湾は医療物資が自給できるようになった後、一部を医療物資が切迫している国に支援しています。

 台湾は4月に200万枚のマスク、5万着の医療用ガウンを日本に贈りました。また、台湾の民間からも「人の痛みをわが身のように」の精神で、日本を励まし、支援してきました。まさに「まさかのときの友こそ真の友」といえます。

 台湾と日本は自由、民主の価値観を共有し、双方の市民の好感度も高く、最高のパートナーだといえます。特に台日間の貿易額も大きいので、日本の支持を得ながら台湾がCPTPP(包括的および先進的な環太平洋連携協定)などの多国間貿易協定に加盟できれば、必ず双方プラスになると信じています。

 今年は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、多くの交流活動が中断しており、経済の発展にも大きな影響が出ています。本当に深刻な事態です。

 しかし、感染症の流行もいつかは終息します。われわれはその日に向けて今から準備しています。感染が落ち着きましたら、われわれはこれまでの基礎の上に、台日の関係を深め、友好交流をつないでいきたいと、ここに決意を表明いたします。

「台湾民主化の父」李登輝元総統死去

森元首相ら 日台関係への大きな功績たたえる

 台湾の民主化を進め、初の直接選挙による総統を務めた李登輝元総統が7月30日、死去した。享年97。

 李元総統は日本統治時代に台北郊外(現新北市)で生まれ、京都帝大の農学部に在学中に出征。終戦後に帰台し、台湾大教授から政界入りした。台北市長や副総統を経て1988年から2000年まで約12年間、総統を務めた。中国大陸由来の中国国民党政権による一党独裁体制を内側から変革し「台湾民主化の父」と呼ばれた。流暢な日本語と親日的な言動で、日本人に親しまれた。日本の政財界に知己も多く、日本と台湾の交流拡大に大きな力を発揮した。

 李元総統の死去を受け、森喜朗元首相を団長とする超党派の国会議員約10人が訪台。森氏は蔡総統との会談で、自身の訪台は安倍晋三首相(当時)の意向だと明らかにした。森氏は8月9日、総統府近くの台北賓館に設けられた李元総統の追悼会場で、「台湾と日本は自由と民主主義、人権、そして普遍的な価値を共有する素晴らしい親善関係・友好関係を築き上げました」と弔辞を読み上げ、台湾の民主化や日台関係の深化に対する李元総統の貢献をたたえた。

 李元総統は米国との関係も重視した。1995年に現職総統として初めて訪米して行った母校コーネル大での講演は、世界から注目された。今年8月に訪台した米国のアザー厚生長官も李元総統の追悼会場を訪れて献花し「李総統が築いた民主主義の遺産は永遠に米台関係を前進させる」とのメッセージを書き残した。

 李元総統の大きな業績は2つあると言われている。1つは民主化を実現させたこと、もう1つは、本土化政策を推進して台湾人意識を広げたことだ。李元総統の次の総統、陳水扁氏によれば、この2つによって台湾は中国の激しい統一工作に抵抗し、併合されずに済んでいる。

 李元総統の死去を受けて東京の台北駐日経済文化代表処(在日大使館に相当)に設置された弔問台には、現職の国会議員150人を含む約4100人が訪れた。謝長廷代表は「李元総統の人格の力と、台日関係に打ち立てた深く良好な基礎を強く感じた」と述べた。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus