海外情勢

中国のレアアース輸出が69%減少 国際物流寸断、対米報復にも

 中国のレアアース(希土類)の輸出量が今年初めから目に見えて減少していることが分かった。7月は前年同月比69.1%減にまで落ち込んだ。中国と対立を深める米国はレアアースの8割を中国に頼り、軍事を含むハイテクでも中国産に依存。輸出が滞れば新たな火種となりそうだ。中国がトランプ政権による中国企業排除の報復手段に使う可能性もある。

 中国税関総署によると、7月のレアアース輸出量は1620トンにとどまった。前年同月は5243トンあった。減少は4月以降、顕著になっている。新型コロナウイルスの世界的大流行に伴って外需が落ち込み、国際物流も寸断されたためとみられる。

 一方、中国はレアアースを「戦略資源」(習近平国家主席)と位置付け、4月に新材料や応用技術を開発するための研究センターの設置を決定。輸出に頼らず、自国の産業強化に生かす方針を示している。

 また中国政府は、トランプ米政権の台湾への地対空誘導弾パトリオット(PAC3)売却をめぐり、製造元の米ロッキード・マーチンに制裁を科すと表明。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報は「先端兵器の生産に欠かせないレアアースの供給を制限する可能性がある」と報じた。

 米国はレアアースの代替供給源の確保を進めるが、短期では難しいとされる。

 米中は15日に貿易協議「第1段階」合意をめぐってライトハイザー通商代表と劉鶴副首相が話し合う方向だったが、調整は難航しているもようだ。中国による米国産品の大量購入について米側が不満を募らせ新たな対中制裁に発展すれば、中国がレアアースの輸出制限に動くことも考えられる。(北京 共同)

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