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大阪市が住民投票経費約10億円を計上へ 感染対策と周知の両立課題

 大阪市は11日、大阪都構想の住民投票にかかる経費約10億7200万円を盛り込んだ補正予算案の概要を明らかにした。18日開会予定の臨時市議会に提出する。前回(平成27年5月)の住民投票にかかった経費は約9億3200万円。今回は消費税増税の影響に加え、オンライン説明会の開催など新型コロナウイルスの感染防止対策関連の費用がプラスされた。感染再拡大が続く中、感染防止に留意しつつ、いかに市民に周知するか。行政側の発信方法が問われている。

 「(市民に)直接説明する機会は前回より絞り込んでいるが、オンラインで分かりやすく説明したい」。11日、大阪維新の会代表の松井一郎市長はこう話した。補正予算案は都構想の制度案(協定書)とともに臨時市議会で審議される。

 松井氏と維新代表代行の吉村洋文知事は、医療崩壊につながる深刻な感染状況にならなければ、11月1日に住民投票を実施する方針で、行政側もこれに合わせた準備を進めている。

 市によると、約10億7200万円のうち、市民に協定書の中身を周知するための広報関連経費は約2億5900万円に上る。

 住民投票の手続きを定めた大都市地域特別区設置法(大都市法)では、議会で協定書が可決された後、府市は住民に「協定書の内容についてわかりやすい説明をしなければならない」と規定している。感染防止と両立する形での情報発信は最重要課題だ。

 このため、前回は市内計39カ所で開催し、約3万2千人の市民が参加した住民説明会の方法を大きく変更。広い会場での8カ所に絞り、これとは別にオンライン説明会を3回開催することにした。

 いずれも動画配信サイト「ユーチューブ」を通じて動画配信を行うほか、インターネット環境がない市民や不慣れな高齢者に配慮し、区役所でも視聴できるようにする。「コロナ対策をしつつ、周知活動もしっかり行えるよう工夫したい」と担当者は話す。

 開票作業人数は削減

 投票関連の経費としては約8億1300万円を計上。市内365カ所の投票所と24区に設置する開票所の設営費用に加え、マスクや除菌シート、消毒液などを各会場に置く感染対策費用も盛り込んだ。

 前回と大きく異なるのが開票作業にあたる市職員の人数だ。前回の約3500人から約420人削減する予定で、担当者は「密にならないよう作業にあたる人を減らしたい」と話す。

 ただ、職員数を削った分、開票終了時刻は前回より約30分間延び、残業代も増える見込みで、「結果として人件費は前回より支出額が大きくなる」(担当者)という。

 一方、都構想反対を訴える共産党市議は「不要不急なお金だ。(コロナ対策など)市民生活の安定に使うべきだ」と主張。自民党市議は「コロナ対策で前回より増額となるのは仕方ないが、行政の広報は税金を使った維新の宣伝だ」と批判している。

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