世界遺産ガラパゴス諸島を抱える南米エクアドルが、自国の排他的経済水域(EEZ)付近で操業を繰り返す中国の大漁船団に懸念を強めている。2017年には同諸島沖の海洋保護区で希少なサメなど約300トンを積んだ中国船が拿捕(だほ)される事件があり、エクアドル政府は「海洋資源荒らし」への地域一体となった対策を訴える。
主要紙コメルシオなどによると同国海軍は7月半ば、ガラパゴス諸島に近いEEZ境界外に約260隻の外国船団を確認。ハリン国防相は大部分が中国船で、海上や上空から監視を続けていると明らかにした上で「境界内に侵入すれば拿捕する」と警告した。
海洋資源が豊富な同海域には17年以降、中国漁船団が頻繁に確認されるようになった。魚の加工船や貯蔵船なども備え「洋上工場」の様相を呈する。同年8月には海洋保護区に侵入した中国船が摘発され、船倉から絶滅危惧種を含むサメ6000匹以上が見つかった。
今年も漁船団が到来したことを受けて同国外務省は7月23日、海洋権益の尊重を求める立場を中国側に通告。モレノ大統領は同25日、太平洋沿岸の中米コスタリカとパナマ、南米コロンビアとペルー、チリに「この種の脅威に対し地域としての対応を取る」ことを呼び掛ける意向を示した。
17年に拿捕された中国船は、現在は海洋パトロール用に再利用されているという。しかしコメルシオは社説で、取り締まりのための「財源や船舶、人材はつつましいと認めざるを得ない」と小国の苦境を強調した。(サンパウロ 共同)