国内

都が軽症者用のホテル確保急ぐ 自宅希望者への対応課題

 新型コロナウイルスの新規感染者が高止まりする中、東京都が軽症者らの宿泊療養先となるホテルの確保を急ピッチで進めている。収容可能人数の引き上げが急務となっているが、その一方で育児や介護などを理由に自宅療養を希望する人たちも多く存在する。宿泊療養を促しながら、自宅療養者にも細やかな健康観察などの対応を行うことが求められている。

 都は4月から都内に5つのホテルを順次借り、約1200人の受け入れが可能な体制を整え、最多で214人(4月29日)が過ごした。その後は新規感染者の減少もあり、ホテルの契約期間の終了に伴って縮小。今月に入って受け入れ可能人数は八王子市の1カ所、約100人となった。

 都は宿泊療養体制の逼迫(ひっぱく)回避に向けて、今月16日に豊島区の1カ所、約110人を追加。23日にさらに1カ所を確保し、複数の事業者とも交渉を続ける。

 ただ約200人の受け入れ枠に対して、宿泊療養者は20日時点で156人。新規感染者数が連日、3桁となる中でホテルに空きがある背景の一つに軽症者の多くがホテルよりも自宅での療養を望むことがあり、20日時点の自宅療養者は宿泊療養に比べて約2・3倍の363人に達する。

 都は容体急変時に対応しやすく、家族感染のリスクも抑えることができるため、軽症者や無症状者に原則、宿泊療養を勧めるが、自宅療養を選択する人たちは理由として育児や高齢者介護、ペットの世話などを挙げるという。

 宿泊療養の短さも一因となる。ホテルでの受け入れ手続きの都合上、1日に新たに入れるのは1カ所当たり最大30人程度。こうした制約に加え、入院か宿泊療養かを振り分ける調整などの手続きにも時間がかかるため、ホテルに入っても療養期間が2~3日程度になる場合が少なくないという。「それならば、わざわざホテルに行かずに自宅に留まるという選択になってしまう」(都関係者)。

 「入院・療養等調整中」は20日時点で501人に上り、自宅療養と同様に健康観察も行われる。都の医療提供体制などに関して分析を行うモニタリング会議で専門家からは「より安全に自宅療養してもらうための戦略が必要だ」との指摘が上がった。

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