安倍晋三首相は6日夜、北朝鮮に拉致された横田めぐみさん(55)=拉致当時(13)=の父で、拉致被害者家族会の前代表、横田滋さんが死去したことについて「心からお悔やみ申し上げます」と語った。都内の私邸前で記者団の質問に答えた。やりとりの詳報は以下の通り。
--横田滋さんが亡くなった受けとめは
「本当に残念です。横田滋さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。そして(妻の)早紀江さんはじめ、ご遺族の皆さまに心からお悔やみを申し上げたいと思います。滋さんとは本当に長い間、めぐみさんはじめ拉致被害者の方々の帰国を実現するために共に戦ってまいりました」
「2002年の10月15日、5人の拉致被害者の方々が帰国をされた羽田空港に、当時私は官房副長官としてお出迎えにうかがったわけでありますが、横田滋さんも早紀江さんとともに家族の会の代表としてきておられました。そして代表としての責任感から、その場を記録にとどめるためにカメラのシャッターを切っておられました。帰国された拉致被害者の方々はご家族の皆さんと抱き合って喜びをかみしめておられた。その場を、写真をとっておられた滋さんの目から涙が流れていたことを今でも思い出します。あの場にめぐみさんがおられないということ、どんなにか、残念で、悔しい思いだったかとその時、本当ににそう思いました」
「滋さんが早紀江さんとともに、その手で、めぐみさんを抱きしめることができる日が来るようにという思いで、今日まで全力を尽くしてまいりましたが、そのことを首相としてもいまだに実現できなかったこと、断腸の思いでありますし、本当に申し訳ない思いでいっぱいであります」
「なんとかめぐみさんはじめ、拉致被害者の方々のふるさとへの帰還、帰国を実現するために、あらゆるチャンスを逃すことなく果断に行動していかないといけない。そういう思いを新たにいたしております。改めてまして滋さんのご冥福を心からお祈り申し上げます」
--前提条件を付けずに北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と向き合うと述べて1年たったが、交渉の状況は
「25年以上、滋さんはじめ家族会の皆さんと、なんとか拉致被害者の方々が帰国できるように、また、世の中が十分に認識をしていなかった時代から、滋さん、本当に暑い日も、寒い日も署名活動にがんばっておられました。その姿をずっと拝見してきただけに、痛恨の極みであります。さまざまな困難があるわけでありますが、なんとしてもですね、被害者の方々(の帰国)が実現する。そのために政府として、日本国としてですね、さまざまな動き、見逃すことなくですね、チャンスをとらえて果断に行動して実現していきたいと思います」